障害者控除とは? 本人・配偶者・扶養親族が障害者の場合の控除を整理

障害者控除は、本人だけでなく、配偶者や扶養親族の状況も所得税の計算に関係する所得控除だ。国税庁 No.1160「障害者控除」(令和7年4月1日現在法令等)をもとにすると、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合に確認対象となる。

この制度でまず押さえたいのは、「障害者控除=障害がある本人だけの控除」ではないという点だ。家族の障害や同居の状況によっても、年末調整や確定申告で確認する内容が変わる。

一方で、控除額がそのまま税金から戻る制度でもない。障害者控除は、税率をかける前の所得から一定額を差し引く「所得控除」であり、計算後の税額から直接差し引く「税額控除」とは異なる。家計の税負担に関係する場合がある制度だからこそ、対象者、区分、申告方法を分けて見ておきたい。

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障害者控除は「本人だけ」の制度ではない

障害者控除は、所得税の計算で本人や家族の状況を所得控除として反映する制度だ。対象になり得るのは、主に次の3つの立場である。

  • 納税者本人
  • 同一生計配偶者
  • 扶養親族

同一生計配偶者とは、納税者と生計を一にする配偶者で、所得などの要件も関係する。扶養親族も、配偶者以外の親族などについて、生計、所得、事業専従者に該当しないことなどの要件を確認する必要がある。

つまり、障害者控除を考えるときは、「誰が障害者に該当するのか」と「その人が税法上の配偶者・扶養親族などの要件を満たすのか」を分けて確認することになる。医療費控除や扶養控除とは別の制度なので、医療費の多さや扶養控除の有無だけで判断しない方が分かりやすい。

控除額は税金から直接引かれる金額ではない

所得税の障害者控除額は、国税庁 No.1160 で次の3区分に整理されている。

  • 障害者: 27万円
  • 特別障害者: 40万円
  • 同居特別障害者: 75万円

ここで注意したいのは、27万円、40万円、75万円がそのまま税金から差し引かれるわけではないことだ。障害者控除は所得控除なので、課税対象となる所得を小さくする仕組みである。

実際に税額へどの程度反映されるかは、所得税率、ほかの所得控除、復興特別所得税、住民税の扱いなどによって変わる。住民税にも障害者控除はあるが、所得税とは控除額が異なるため、この記事では所得税を中心に整理する。

16歳未満の扶養親族でも確認対象になる

見落としやすいのが、16歳未満の扶養親族の扱いだ。16歳未満の子は扶養控除の対象にはならないが、障害者控除では対象になる場合がある。

国税庁 No.1160 では、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族についても、障害者控除は適用されると整理されている。したがって、「扶養控除がない年齢だから、障害者控除も関係ない」とは限らない。

年末調整や確定申告の前には、まず本人、配偶者、扶養親族のうち誰が確認対象になるのかを見る。そのうえで、障害者、特別障害者、同居特別障害者のどの区分に当たるのかを確認する流れになる。

同居特別障害者75万円は本人の控除額とは分けて考える

控除額の中で特に誤解されやすいのが、同居特別障害者の75万円だ。これは、納税者本人が特別障害者に該当した場合の控除額が75万円になるという意味ではない。

納税者本人が特別障害者に該当する場合は、原則として特別障害者の40万円の区分で考える。一方、同居特別障害者は、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族が、納税者本人などと常に同居している場合に関係する区分だ。

本人の障害者区分を確認しているのか、配偶者や扶養親族の障害者区分と同居状況を確認しているのか。この違いで見るべき控除額が変わるため、申告前には「対象者」と「同居の有無」を分けて整理したい。

要介護認定だけで障害者控除の対象になるとは限らない

高齢の家族を扶養している場合、介護保険の要介護認定と障害者控除を混同しやすい。国税庁 No.1185 では、要介護認定を受けているだけでは障害者控除の対象にならないと説明されている。

ただし、65歳以上で、市町村長等から知的障害者または身体障害者に準ずるものとして認定を受ける場合など、障害者控除の対象になるケースがある。自治体によっては、障害者控除対象者認定書などの手続きが関係する。

介護サービスを利用するための要介護認定と、所得税で障害者控除の対象になるかどうかの判定は別の枠組みだ。高齢の家族について確認する場合は、介護保険の認定状況だけでなく、税の申告で使える自治体認定の有無も分けて確認する必要がある。

会社員は年末調整、反映漏れは確定申告で確認する

会社員の場合、障害者控除は年末調整で確認する場面が多い。扶養控除等申告書などで、本人、同一生計配偶者、扶養親族の該当状況を記入する流れになる。ただし、様式や勤務先の実務は年分や会社の運用によって変わるため、最新の申告書や勤務先の案内を確認したい。

個人事業主、フリーランス、年金受給者、年末調整で反映しなかった人などは、確定申告で障害者控除を反映する場面がある。障害に関する情報は個人情報性が高いため、勤務先での申告と確定申告のどちらで対応できるかは、個別事情に応じて税務署などで確認したい。

申告前に整理したいのは、主に次の点だ。

  • 対象者は、本人、同一生計配偶者、扶養親族のいずれか
  • 障害者、特別障害者、同居特別障害者のどの区分に当たるか
  • 年末時点での状況はどうなっているか
  • 障害者手帳や自治体の認定書など、確認できる資料があるか
  • 所得税と住民税で扱いを混同していないか
  • 要介護認定と障害者控除の認定を同じものとして扱っていないか

手帳の種類や等級と、税法上の障害者・特別障害者の区分は、単純に読み替えられない場合がある。具体的な判定は、国税庁資料、税務署、自治体の案内で確認するのが現実的だ。

申告前は「対象者」と「区分」を分けて確認する

障害者控除を理解する近道は、控除額からではなく、確認順序から考えることだ。まず、本人、配偶者、扶養親族のうち誰が対象になり得るのかを確認する。次に、その人が一般障害者、特別障害者、同居特別障害者のどの区分に当たるのかを見る。

特に、16歳未満の扶養親族、特別障害者である家族との同居、高齢家族の市町村長等の認定は、見落としや誤解が起きやすい。年末調整や確定申告の時期だけでなく、障害者手帳の交付、自治体認定、扶養状況の変化があったときも確認のきっかけになる。

障害者控除は、控除額だけを見て「いくら戻る」と判断する制度ではない。何が所得税の計算に反映され、何がまだ個別確認を要するのかを分けておくことが、制度を正しく使うための出発点になる。

出典・参考

主な参照資料

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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