日本関係船22隻がホルムズ海峡通過と国交省説明 原油輸送と継続通航を分けて読む

2026年7月10日、ペルシャ湾内にとどまっていた日本関係船舶22隻がホルムズ海峡を通過したと、NHKが国土交通省の説明として報じた。うち6隻は日本向けの大型原油タンカーで、湾内に残る日本関係船舶は4隻になったとされる。

船が海峡を抜けたことは、乗組員の安全と日本向け原油輸送の状況を確認するうえで重要な動きだ。ただし、一部船舶の通過は、海峡全体で継続的な安全が確保されたことや、日本国内の燃料供給が正常化したことを意味しない。

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾岸の産油国とオマーン湾を結ぶ重要航路だ。通航の混乱が続けば、原油の到着だけでなく、海上運賃や保険料、物流日程を通じて企業の調達コストに影響し、ガソリンや軽油、灯油などの供給にも波及する可能性がある。

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日本関係船22隻が通過 確認された動きと残る不明点

NHKが伝えた国土交通省の説明では、通過した22隻の乗組員に健康上の問題はなく、船体にも異常はないとされる。22隻が湾内から海峡を通過できたことは、船舶の滞留解消に向けた動きと位置づけられる。

一方、国土交通省の会見要旨など一次資料は確認できていない。このため、22隻が通過した具体的な期間や「新たに」の起点、6隻の船型や積載状況、残る4隻の集計時点は明らかではない。

「日本関係船舶」の定義にも注意が要る。日本船籍の船だけでなく、日本企業が所有、運航、用船する外国船籍船などが含まれる場合がある。今回どの範囲を数えたのかは示されておらず、「日本籍船22隻」と言い換えることはできない。

船名や船籍、運航会社、貨物、通過時の航路も公表されたかどうか確認できていない。数字は具体的だが、22隻がどのような条件で海峡を抜けたのかまでは見えていない。

22隻の通過は海峡の安全回復を意味するのか

今回の通航実績と、今後も船舶が安全に往来できる状態は分けて考えたい。

海上交通の安全などを扱う国連の専門機関、国際海事機関(IMO)は6月23日、ペルシャ湾内にある船舶と船員を移動させる退避計画を発表した。関係者が安全確保に必要な条件を確認し、船舶の移動を調整する枠組みだった。

しかし、IMOは6月25日、オマーン湾での船舶攻撃を受けて計画を一時停止した。航行条件は固定されたものではなく、攻撃の発生や周辺情勢によって変わることを示す経緯だ。

今回の日本関係船22隻がIMOの計画に含まれていたか、計画が7月時点でどのように運用されていたかは分かっていない。IMOの対応は今回の通航方法を説明する材料ではなく、個別船の通過と継続的な安全確保が別の問題であることを示す背景となる。

AP通信は7月10日時点で、米国がイランに対し、海峡を開放し通航船を攻撃しないと公に表明するよう求めていたと報じている。関係国間の協議が続くなか、一度に複数の船が通過できたとしても、新たな船が継続して入出航できるかはなお別の論点だ。

原油タンカー6隻が通過しても国内供給はまだ輸送途中

日本向け大型原油タンカー6隻の通過は、日本向け原油輸送が一部進んだことを示す。ただし、「6隻」という隻数だけでは、日本へ届く原油の量や国内供給への寄与は判断できない。

大型タンカーでも船型や積載率は異なる。今回の6隻については、満載だったかどうかを含め、積載量、原油の産地や油種、積出港、日本での到着港や到着時期が確認できていない。隻数を国内需要の日数に換算する根拠もない。

海峡の通過は供給網の一段階にすぎない。タンカーは日本まで航海した後、港で原油を荷揚げする。さらに製油所でガソリンや灯油、軽油などに精製され、国内各地へ運ばれて初めて企業や家庭への供給につながる。

店頭価格もタンカーの通過だけで決まるわけではない。原油相場に加え、為替、税、補助制度、国内在庫、精製費、流通費などが重なる。このため、6隻の通過を燃料供給や価格の正常化に直結させることはできない。

代替経路はあるが、海峡輸送を全面的には置き換えにくい

ホルムズ海峡は、物流が集中し、通航障害の影響が広範囲に及びやすい「チョークポイント」の一つだ。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、同海峡を通る通常時の原油フローを日量約1,500万バレル規模と説明している。ただし、この数字は特定時点の統計に基づく概数であり、今回の船舶数や積載量を示すものではない。

米政府のエネルギー統計・分析機関である米国エネルギー情報局(EIA)も、船舶追跡データや積出港、到着港などを組み合わせて海峡通過量を推計している。こうしたデータは世界の石油供給を分析する材料になるが、個別船の航路や積み荷を直接証明するものではない。

海峡外へ原油を運ぶ経路もある。アラブ首長国連邦(UAE)では、ペルシャ湾側の原油をパイプラインで、ホルムズ海峡の外側にあるオマーン湾側のフジャイラ港へ送り、そこから船積みできる。

この経路は通航障害の影響を和らげる手段になる一方、JOGMECは輸送能力などの制約から、海峡を通る原油を全面的に代替するのは難しいと説明している。日本への供給を考える際も、海峡の通航状況だけでなく、代替輸送路、調達先、備蓄、製油所の在庫と稼働状況が判断材料となる。

残る4隻の状況と継続通航を左右する条件

政府説明として報じられた数字では、7月10日時点で湾内に残る日本関係船舶は4隻となった。ただし、船種や残っている理由、乗組員の状態、今後の出航予定は示されていない。湾内にいるという情報だけで、危険な状態や航行不能と判断することはできない。

次の確認点は、この4隻がどのような条件で移動するのか、新たな船舶が海峡へ入り、継続して出航できるのかという点だ。船員と船舶を湾内から移動させる通航と、原油タンカーなどが定期的に往来する商業運航では意味が異なる。

継続通航の状況は、通過隻数だけでは測れない。攻撃の有無、航行警報、安全確保に向けた関係者の調整、保険の引受条件、海上運賃、船会社が船をどの航路に投入するかという判断が具体的な指標になる。

日本向けタンカーについては、積載量と到着時期、荷揚げ、製油所への搬入まで進んで初めて、国内供給への効果が見えてくる。今回の22隻は「一度通れた」という動きだ。今後のニュースでは、残る4隻の動向とともに、必要な量の原油を継続して運べる条件が整うかが注目点となる。

出典・参考

主な参照資料

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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