事業所得とは? 個人事業主の売上・必要経費・青色申告をやさしく解説

個人事業主やフリーランス、副業収入がある会社員が確定申告で最初につまずきやすいのは、「売上」「入金」「経費」「所得」を同じ意味で使ってしまうことだ。

事業所得は、事業で入ってきたお金そのものではない。国税庁のタックスアンサーでは、事業所得は事業から生じる所得であり、基本的に「総収入金額-必要経費」で計算するとされている。

つまり、税金を考えるときに見るのは、売上高だけではない。どの収入がその年の収入として確定したのか、どの支出が事業のために必要だったのか、自宅や通信費のように生活と仕事が混ざる費用をどう分けるのか。ここを整理できるかどうかで、確定申告の準備のしやすさは大きく変わる。

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事業所得は「売上」ではなく、経費を差し引いた後の所得

事業所得の基本は、総収入金額から必要経費を差し引くという考え方にある。

たとえば、制作業、講師業、コンサルティング、ネット販売、店舗運営などで売上があっても、その仕事のために仕入れ、外注費、広告宣伝費、通信費、消耗品費などを支払っていれば、所得は売上より小さくなる。税額の見込みや資金繰りを考える際に、売上だけでは実態をつかみにくい理由はここにある。

一方、会社員が勤務先から受け取る給料は、原則として給与所得にあたる。個人で仕事をして収入を得ていても、そのすべてが自動的に事業所得になるわけではない。所得税では、収入の性質によって給与所得、事業所得、雑所得などの区分が分かれる。

この区分は、単なる名前の違いではない。帳簿の付け方、必要経費の整理、青色申告との関係にもつながるため、まず「売上」と「所得」を分けて考えることが出発点になる。

年またぎの入金は、収入が確定した時期を確認する

事業所得を考えるとき、入金日だけを見ればよいとは限らない。

事業では、仕事をした日、納品した日、契約上の役務提供が完了した日、請求書を出した日、実際に入金された日がずれることがある。国税庁の収入金額に関する説明では、収入すべき金額は、原則として収入すべき権利が確定した金額で考えるとされている。

たとえば、年末に仕事が終わり、入金が翌年になる取引では、単に「お金が入った年」だけで判断しない。契約内容、役務提供の完了時期、取引慣行、請求書や納品記録などから、収入すべき権利がいつ確定したかを確認することになる。

ここを曖昧にしたまま入金ベースだけで記録していると、年末年始の取引で迷いやすい。未収金、請求書、契約書、入金記録をつなげて見られる状態にしておくと、どの年の収入として扱うかを整理しやすくなる。

必要経費は、支払ったかどうかより事業との関係で見る

必要経費は、事業の収入を得るために直接必要だった費用や、業務上必要だった費用を指す。売上原価、外注費、広告宣伝費、通信費、消耗品費、旅費交通費、減価償却費などは、事業との関係を説明できる場合に経費として整理される。

ただし、支払ったものがすべて経費になるわけではない。判断の軸は、支出の名称ではなく、どの仕事、どの売上、どの業務に必要だったかを説明できるかだ。

交際費という名前でも、取引先との打ち合わせなど、内容、相手、目的、記録から事業との関係を説明できる場合は経費として扱われることがある。一方で、私的な飲食や家族の生活費は、事業用の支出とは分けて考える。

税金の扱いも混同しやすい。国税庁の必要経費に関する説明では、所得税や住民税は必要経費にならない。一方、事業税は必要経費に算入でき、固定資産税は業務用部分に限って必要経費にできる。税金だからすべて不可、またはすべて可と見るのではなく、税の種類と事業との関係を分けて確認したい。

誤解しやすい点は、次のように整理できる。

  • 売上がそのまま課税対象になるわけではなく、事業所得は総収入金額から必要経費を差し引いて考える。
  • 入金日だけで決まるとは限らず、収入すべき権利が確定した時期が関係する。
  • 支払ったものすべてが経費になるわけではなく、事業の収入を得るために必要な支出かが問われる。
  • 所得税、住民税、事業税、固定資産税では、必要経費としての扱いが異なる。

自宅兼事務所の家賃や光熱費は、事業分を分けて考える

自宅で仕事をしている個人事業主は、家賃、電気代、通信費などをどこまで経費にできるかで迷いやすい。ここで重要になるのが、家事按分という考え方だ。

家事按分とは、生活用と事業用が混ざった支出について、事業に使った部分だけを分けることをいう。自宅の一部を仕事場として使っている場合、面積、使用時間、使用頻度など、説明できる基準で事業利用分を整理する。

自宅で働いているからといって、家賃や光熱費をそのまま全額経費にできるとは限らない。逆に、生活費と混ざっているから一切経費にできないと決めつける必要もない。事業利用部分を明らかに区分できるかが重要になる。

按分割合は、誰にでも一律に当てはまる固定ルールではない。仕事部屋の面積、使用時間、通信回線の使い方など、あとから説明できる根拠を残しておくことが、申告準備の土台になる。

副業収入は、金額や名称だけで所得区分が決まらない

会社員の副業収入がある場合、事業所得になるのか、雑所得になるのかも迷いやすい。

副業で収入があるからといって、自動的に事業所得になるわけではない。一方で、一定の金額以下なら必ず雑所得になる、という単純な整理でもない。副業に係る所得は、内容や実態によって雑所得に該当する場合がある。

国税庁は2022年10月7日、雑所得の範囲を明確化するための所得税基本通達改正を公表した。副業収入の所得区分を考える際には、社会通念上、事業といえる程度で行われているか、帳簿書類の保存状況などを踏まえて見ることになる。

ただし、帳簿を保存していれば常に事業所得になるわけではない。継続性、営利性、反復性、設備や顧客対応、収入規模、生活状況など、事業としての実態があるかを総合的に見る論点になる。

副業収入の区分は個別事情によって扱いが変わる。迷う場合は、税務署や税理士に確認するのが現実的だ。

青色申告では、帳簿と書類保存が土台になる

事業所得は、青色申告とも関係する。

青色申告は、一定の帳簿付けや書類保存を前提に、税制上の特典を受けられる申告制度だ。国税庁の説明では、青色申告特別控除には55万円、一定要件を満たす場合の65万円、または10万円の区分がある。

ただし、控除額だけを先に見ると、制度の前提をつかみにくくなる。青色申告では、総収入金額と必要経費を正しく整理し、その根拠になる帳簿や書類を保存することが土台になる。

残しておきたい記録は、たとえば次のようなものだ。

  • 売上や報酬の内容が分かる請求書、契約書、納品記録
  • 入金日や未収金を確認できる入出金記録
  • 経費の内容、相手、目的が分かる領収書や明細
  • 自宅兼事務所の家賃、電気代、通信費などを按分した根拠
  • 未払いの費用について、債務の内容や金額を確認できる資料

帳簿は、税務署に提出するためだけのものではない。どの収入がいつ確定したのか、どの支出が事業と関係するのか、生活費と事業費をどう分けたのかを説明するための土台になる。小規模な副業やフリーランスでも、記録を残しておくことで、税額計算だけでなく事業採算も把握しやすくなる。

確定申告で迷いやすいのは、収入時期・経費・按分の3点

事業所得を理解するうえで、確認したいポイントは大きく3つある。

第一に、収入の時期だ。入金日だけではなく、契約内容や役務提供の完了時期などから、収入すべき権利がいつ確定したかを確認する。

第二に、経費の範囲だ。支払ったかどうかではなく、その支出が事業の収入を得るために必要だったか、業務との関係を説明できるかを見る。

第三に、生活費と事業費の区分だ。自宅、通信費、車、光熱費のように私用と事業用が混ざる支出は、事業利用部分を合理的に分けることが求められる。

青色申告や副業収入の所得区分を詳しく考える場合も、この土台は変わらない。まずは、売上、入金、経費、所得を同じものとして扱わず、収入の確定時期、事業との関係、按分根拠を記録する。そこを押さえると、確定申告ソフトの入力項目や税理士への相談内容も整理しやすくなる。

出典・参考

主な参照資料

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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