基礎控除とは? 2025年分・2026年分以後で変わる所得税の基本控除

基礎控除は、所得税を計算するときに、納税者本人の所得から差し引く基本的な所得控除だ。会社員の年末調整、個人事業主や副業所得がある人の確定申告に関係し、多くの人が一度は目にする制度でもある。

ただし、2026年6月時点で基礎控除を「48万円」とだけ覚えておくのは危うい。令和7年度税制改正に続き、令和8年度税制改正でも所得税の基礎控除の引上げなどが行われ、2025年分と2026年分以後では確認すべき表が変わるためだ。

この記事では、所得税の基礎控除を「2025年分」と「2026年分以後」に分けて整理する。まず押さえたいのは、基礎控除は税金から直接引く金額ではなく、税率をかける前の所得を小さくする制度だという点だ。

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基礎控除は、税金から直接引く控除ではない

基礎控除は、所得税額を計算する前に、総所得金額などから差し引く所得控除の一つだ。医療費控除や生命保険料控除のように特定の支出がある場合だけに関係する控除ではなく、本人の合計所得金額に応じて適用される。

ここで誤解しやすいのは、控除額がそのまま税金の減額になるわけではないことだ。たとえば基礎控除額が58万円でも、所得税が58万円少なくなるわけではない。基礎控除は課税所得を小さくし、その結果として税額に影響する。

税額から直接差し引く制度は税額控除と呼ばれる。住宅ローン控除などが代表例だ。基礎控除は所得控除なので、実際の税額への影響は所得税率、ほかの所得控除、復興特別所得税などによって変わる。

判定で見るのは「年収」ではなく「合計所得金額」

基礎控除の判定では、単純な年収ではなく「合計所得金額」を見る。ここを取り違えると、年末調整書類や確定申告書で自分の控除額を確認するときに迷いやすい。

給与収入は、会社から受け取る給与や賞与の総額を指す。一方、給与所得は、給与収入から給与所得控除を差し引いた後の税金計算上の金額だ。個人事業主の場合も、売上そのものではなく、必要経費などを差し引いた事業所得が計算の出発点になる。

合計所得金額は、給与所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得などを税法上のルールで合計した金額だ。給与だけの人と、副業、不動産収入、資産の譲渡所得がある人では、同じような年収に見えても判定が変わる場合がある。

会社員が年末調整で基礎控除申告書を書くときも、「給与収入はいくらか」だけでなく、「所得見積額としてどう扱われるか」が重要になる。副業や不動産所得がある人は、給与だけで判断しないほうがよい。

2025年分の基礎控除額は、所得区分ごとに変わる

国税庁のタックスアンサー No.1199では、令和7年分、つまり2025年分の基礎控除額について、合計所得金額ごとの区分が示されている。大きな境目は、合計所得金額2,500万円以下かどうかだ。2,500万円を超えると、基礎控除額は0円になる。

2025年分の所得税では、合計所得金額ごとの基礎控除額は次のように整理される。

  • 合計所得金額132万円以下: 95万円
  • 132万円超336万円以下: 88万円
  • 336万円超489万円以下: 68万円
  • 489万円超655万円以下: 63万円
  • 655万円超2,350万円以下: 58万円
  • 2,350万円超2,400万円以下: 48万円
  • 2,400万円超2,450万円以下: 32万円
  • 2,450万円超2,500万円以下: 16万円
  • 2,500万円超: 0円

ここで重要なのは、「所得2,500万円以下なら全員同じ控除額」ではないことだ。2,500万円以下という条件は、基礎控除が残るかどうかの上限であり、実際の控除額は合計所得金額の区分で変わる。

また、2025年分の一部区分では、税制改正に伴う上乗せの扱いがある。細かな法令構造まで覚える必要はないが、少なくとも2025年分以後は「基礎控除は48万円」と一律に理解すると、年末調整や確定申告の説明と合わなくなる。

2026年分以後は、令和8年度改正後の表を確認する

2026年分以後の所得税では、令和8年度税制改正も反映して確認する必要がある。国税庁は、令和8年度改正による所得税の基礎控除の引上げなどについて、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されると案内している。

令和8年度改正は、所得税法等の一部を改正する法律として令和8年3月31日に成立・公布された。2026年6月時点の記事としては、2025年分の表だけを見て2026年分以後まで説明するのは避けたい。

国税庁の資料では、令和8年分・令和9年分の基礎控除額について、次のような区分が示されている。

  • 合計所得金額132万円以下: 104万円
  • 132万円超489万円以下: 104万円
  • 489万円超655万円以下: 67万円
  • 655万円超2,350万円以下: 62万円
  • 2,350万円超2,400万円以下: 48万円
  • 2,400万円超2,450万円以下: 32万円
  • 2,450万円超2,500万円以下: 16万円
  • 2,500万円超: 0円

令和10年分以後は、さらに別の整理になる。国税庁資料では、合計所得金額132万円以下は99万円、132万円超2,350万円以下は62万円、2,350万円超は段階的に48万円、32万円、16万円、0円となる区分が示されている。

つまり、基礎控除は「何年分の所得税か」で見方が変わる。2025年分の確定申告を確認しているのか、2026年分の年末調整を確認しているのか、令和10年分以後の制度を見ているのかを分けて読む必要がある。

年収の壁の話とは、重なる部分と別の部分がある

基礎控除は、いわゆる「年収の壁」のニュースと一緒に語られやすい。令和7年度税制改正や令和8年度税制改正では、基礎控除だけでなく、給与所得控除の見直しも生活実務に関係する論点になっている。

ただし、年収の壁は基礎控除だけで決まる話ではない。所得税の課税、扶養控除や配偶者控除、社会保険の加入条件、企業の家族手当など、別々の制度が重なっている。基礎控除はその中の「所得税を計算する前に所得から差し引く控除」として位置づけると理解しやすい。

働き方や手取りへの影響を考えるときも、基礎控除額だけで判断するのは避けたい。所得税の制度を確認するなら、基礎控除、給与所得控除、扶養関係の控除を分けて見る必要がある。社会保険や勤務先の手当は、さらに別の確認事項になる。

所得税と住民税は、同じ基礎控除として扱わない

基礎控除という言葉は、所得税だけでなく住民税でも使われる。ただし、所得税と住民税は別の税であり、控除額や判定の扱いを同じものとして見てはいけない。

所得税は国税で、会社員なら年末調整、個人事業主や副業所得がある人なら確定申告で関係する。住民税は地方税で、前年の所得をもとに市区町村などが課税する。会社員の場合は給与から天引きされることが多いため、所得税と同じ流れに見えやすい。

この記事で扱っているのは、国税庁資料に基づく所得税の基礎控除だ。住民税の基礎控除額や非課税判定まで同じものとして広げると、制度の境目が見えにくくなる。住民税の具体的な扱いは、自治体や総務省資料などで別に確認するのが前提になる。

年末調整と確定申告では、まず年分と所得区分を確認する

基礎控除を確認するときは、最初に「どの年分の所得税か」を見る。2025年分、2026年分・2027年分、令和10年分以後では、基礎控除額の表が同じではない。

会社員の場合、年末調整では勤務先に提出する申告書の中で、本人の所得見積額や基礎控除額が関係する。給与収入だけなら比較的整理しやすいが、副業所得、不動産所得、退職所得、譲渡所得などがある場合は、合計所得金額の見積もりに注意したい。

個人事業主やフリーランス、副業所得を確定申告する人は、収入から必要経費などを差し引いた所得をもとに、各種の所得控除を反映する。基礎控除は多くの人に関係する基本控除だが、最終的な税額はほかの控除や税率も含めて決まる。

確認の順番はシンプルだ。まず対象年分を確認する。次に、年収ではなく合計所得金額を見る。そのうえで、所得税と住民税、基礎控除と年収の壁全体を分けて考える。この3点を押さえるだけでも、年末調整や確定申告の書類で迷う場面はかなり減る。

基礎控除は、税制の中では基本的な制度だが、2025年分以後は年分ごとの確認が欠かせない。次に国税庁の資料や勤務先の年末調整書類を見るときは、「何年分の所得税か」「合計所得金額はいくらか」「所得控除としてどこに反映されるか」を順に確認したい。個別の税額や申告内容に迷う場合は、勤務先、税務署、税理士などに確認するのが確実だ。

出典・参考

主な参照資料

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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