「確定給付型」と「確定拠出型」は、名前が似ているぶん違いが見えにくい。勤務先の制度説明で聞いたことはあっても、何が違うのかをうまく言葉にできない人は多い。
違いの入口は、何が先に定まる仕組みなのかにある。そこを押さえると、将来の受取額の考え方や、運用リスクを誰が負うのかも整理しやすくなる。
この記事では、確定給付型と確定拠出型の違いを、企業年金の基本としてやさしく整理する。
何が違うのかを先に整理する
確定給付型と確定拠出型は、どちらも老後資金づくりに関わる制度だが、仕組みの出発点が違う。
確定給付型は、あらかじめ給付の算定方法が決まっている仕組みだ。加入者から見ると、将来どのような形で受け取るのか、どの程度の給付が見込めるのかを比較的イメージしやすい。
一方の確定拠出型は、拠出した掛金とその運用結果をもとに将来の給付額が決まる仕組みだ。先に決まるのは掛金の拠出で、最終的な受取額は運用結果によって変わる。
同じ「確定」という言葉が入っていても、確定しているものが違う。この違いを先に押さえると、制度全体の見え方がかなり変わる。
将来の受取額の見え方はどう違うのか
老後資金を考えるとき、多くの人が気にするのは「結局いくら受け取れるのか」という点だ。この見え方は、2つの制度でかなり異なる。
確定給付型では、制度設計の段階で給付の算定方法が示されているため、加入者は受取額の考え方を比較的つかみやすい。もちろん実際の給付内容は制度ごとに異なるが、将来像を描きやすいことは特徴の一つといえる。
確定拠出型では、将来の受取額は運用結果によって変わる。積み立てた掛金がどのように運用されたかによって、受け取れる金額は増えることもあれば、想定ほど伸びないこともある。受取額が最初から固まっている制度ではない、という理解が重要になる。
運用リスクを誰が負うのか
確定給付型と確定拠出型の違いを考えるうえで、核心になるのが運用リスクの負担先だ。
確定給付型では、給付の算定方法が先にあるぶん、制度の運営や資産管理は企業や基金などの実施主体が担う。加入者が自分で運用商品を選ぶ仕組みではないため、日々の値動きを直接引き受ける構造ではない。
これに対して確定拠出型では、加入者ごとに拠出された掛金をもとに資産が管理され、運用方法も加入者が選ぶ。その結果、運用成果の影響は基本的に加入者本人に返ってくる。
つまり、確定給付型は実施主体がまとめて運用管理を行う色合いが強く、確定拠出型は加入者自身の運用判断が将来の受取額に反映されやすい制度だと整理できる。
企業年金の中ではどう位置づけられるのか
企業年金を理解するとき、まず押さえたい分け方が、確定給付型と確定拠出型だ。
企業年金の代表例としては、確定給付型に確定給付企業年金、確定拠出型に企業型確定拠出年金(企業型DC)がある。勤務先の制度を確認するときも、この2つのどちらに近い仕組みなのかを見ると整理しやすい。
ここで注意したいのは、iDeCoは企業年金そのものではなく、個人型確定拠出年金だという点だ。ただし、仕組みとしては同じ確定拠出年金に属するため、企業型DCとあわせて理解すると違いが見えやすくなる。
制度名だけを覚えるよりも、「給付の算定方法が先にある仕組み」と「掛金と運用結果で給付額が決まる仕組み」に大きく分かれるとつかんでおくほうが役に立つ。
確定拠出型はリスクが高い制度なのか
確定拠出型と聞くと、「運用が必要なら不安だ」と感じる人もいる。ただ、ここは少し整理して見たほうがよい。
確定拠出型では、元本確保型の商品を含めて、複数の運用商品の中から選ぶのが一般的だ。どの程度のリスクを取るかは、自分の考え方や年齢、運用期間に応じて判断することになる。
一方で、確定給付型は自分で運用商品を選ばないからといって、制度の中身を知らなくてよいわけではない。勤務先にどの制度があり、どのような給付設計なのかを把握しておくことは、どちらの制度でも大切だ。
確定拠出型を単純に「危ない制度」と見るのではなく、受取額が運用結果に連動する制度だと理解するほうが実態に近い。
自分に関係する制度はどう見ればよいのか
制度の違いを理解する目的は、優劣を決めることではない。自分に関係する制度を見つけやすくすることにある。
会社員であれば、まず勤務先に確定給付企業年金があるのか、企業型DCがあるのかを確認するのが出発点になる。制度の名前だけでなく、誰が掛金を拠出するのか、受取額がどう決まるのか、運用を自分で考える必要があるのかを見ていくと、自分の立場がつかみやすい。
自営業者やフリーランスであれば、企業年金そのものより、iDeCoや国民年金基金、小規模企業共済のほうが関係しやすい。その場合でも、確定拠出型の仕組みを理解しておくと、iDeCoを検討するときの土台になる。
Summary
確定給付型は、あらかじめ給付の算定方法が決まっている仕組みだ。確定拠出型は、拠出した掛金とその運用結果をもとに給付額が決まる仕組みだ。
この違いから、将来の受取額の見え方や、運用リスクを誰が負うのかも変わってくる。まずはここを整理しておくと、企業年金の全体像がかなり見えやすくなる。
次に企業型DCやiDeCo、確定給付企業年金の個別の仕組みを見ていくと、自分に合った制度の理解がさらに深まる。
(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

