地震保険料控除とは?所得税と住民税の控除上限を整理

地震保険料控除は、地震保険の保険料を支払った人が、年末調整や確定申告で確認する所得控除の一つだ。火災保険とセットで契約していることが多いため、「保険料のどこまでが控除対象なのか」「所得税と住民税で何が違うのか」が分かりにくい。

会社員なら年末調整、個人事業主や年末調整で出し忘れた人なら確定申告で関係する。持ち家だけでなく、賃貸住宅で家財を対象にした地震保険に加入している場合も、控除証明書に対象額が記載されていれば確認対象になる。

最初に押さえたいのは、地震保険料控除は「税額控除」ではなく「所得控除」だという点だ。控除額が5万円だからといって、税金がそのまま5万円減るわけではない。税率をかける前の所得から一定額を差し引く制度であり、課税所得がある場合には税額計算に影響することがある。

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火災保険に入っていても、見るのは地震保険料部分

地震保険料控除の対象になるのは、居住用の家屋や生活用動産に関する地震保険料だ。生活用動産とは、日常生活で使う家財などを指す。住宅そのものだけでなく、家財を対象にした契約も、要件に合えば対象として確認することになる。

誤解しやすいのは、地震保険が通常、火災保険に付帯して契約される点だ。保険契約としては一体に見えても、税務上の控除対象は原則として地震保険料部分であり、火災保険料全体ではない。控除証明書を見るときは、保険料総額ではなく、地震保険料控除の対象額として示された区分を確認する。

対象資産にも線引きがある。国税庁の説明では、本人または生計を一にする配偶者・親族が所有する、常時居住用の家屋や生活用動産に関する契約が基本になる。「生計を一にする」とは、同居だけで決まるものではなく、生活費や家計が一体かどうかをみる税務上の考え方である。

店舗併用住宅、事務所兼住宅、賃貸用物件などは、居住用部分と事業用部分が混在する。一般的な住宅や家財と同じように単純処理できないことがあるため、控除証明書、契約内容、対象資産の用途を分けて確認したい。

所得税は最高5万円、住民税は最高2万5,000円の所得控除

地震保険料控除で特に間違いやすいのが、所得税と個人住民税で控除額の考え方が異なる点だ。ここでいう金額は、税額から直接差し引く金額ではなく、所得から差し引く「所得控除額」である。

所得税では、年間に支払った地震保険料が5万円以下なら支払額の全額、5万円を超える場合は最高5万円が控除額になる。これは国税庁の「地震保険料控除」で確認できる。

一方、個人住民税では、東京都主税局の説明によると、地震保険料のみの場合は支払額の2分の1、最高2万5,000円が控除額とされている。つまり、「地震保険料控除は5万円まで」とだけ覚えると、住民税側の扱いを取り違えやすい。

整理すると、地震保険料のみの場合は次のようになる。

  • 所得税で年間支払額が5万円以下 支払額の全額が所得控除の対象
  • 所得税で年間支払額が5万円超 最高5万円が所得控除の対象
  • 個人住民税で年間支払額が5万円以下 支払額の2分の1が所得控除の対象
  • 個人住民税で年間支払額が5万円超 最高2万5,000円が所得控除の対象

たとえば所得税側で5万円の控除額が使えるとしても、それは5万円がそのまま返ってくるという意味ではない。実際の税額への反映は、所得税率、住民税の計算、ほかの所得控除の状況によって変わる。

控除証明書では、契約名義よりも支払者と区分を見る

年末調整では、勤務先に提出する保険料控除申告書と、保険会社などから届く地震保険料控除証明書の内容が中心になる。確定申告をする場合も、証明書に記載された対象額をもとに申告書へ反映する。

実務で最初に見るべきなのは、証明書の区分だ。火災保険と地震保険をセットで契約していても、控除対象として扱うのは地震保険料部分である。保険料総額をそのまま転記すると、控除対象ではない部分まで含めてしまうおそれがある。

契約者名義だけで控除を受ける人が決まるわけでもない。税務上は、実際に保険料を支払った人が誰かも関係する。家族名義の契約であっても、生計を一にする親族の居住用資産に関する保険料を本人が支払っている場合など、名義と支払者がずれるケースでは整理が必要になる。

電子交付された控除証明書やマイナポータル連携、e-Taxでの扱いは、勤務先の年末調整システムや申告方法によって確認点が変わる。紙の証明書だけを前提にせず、使う手続きに合った形式で確認するのが現実的だ。

旧長期損害保険料は「今の火災保険料控除」ではない

地震保険料控除を調べると、旧長期損害保険料という言葉が出てくることがある。これは、平成18年12月31日、つまり2006年12月31日以前に締結された一定の長期損害保険契約について、経過措置として残されている扱いだ。

ここで混同してはいけないのは、旧長期損害保険料の経過措置があるからといって、現在の火災保険料が広く控除対象になるわけではないという点だ。現在の制度で中心になるのは、地震等損害部分の保険料である。旧契約の扱いは、過去の制度変更に伴う例外的な整理として分けて理解したい。

国税庁の説明では、地震保険料と旧長期損害保険料の両方に該当する契約については、いずれか一方の契約区分を選んで控除額を計算する扱いになる。証明書に複数の区分が出ている場合は、どの区分で申告するのかを確認することが大切だ。

旧長期損害保険料には、地震保険料とは別の計算方法がある。細かな計算を本文だけで判断するより、控除証明書の記載、国税庁の説明、必要に応じて勤務先や税務署、税理士への確認につなげるほうが分かりやすい。

「いくら戻るか」より、どの保険料が対象かを先に見る

地震保険料控除は、課税所得がある場合には税額計算に影響することがある制度だ。ただし、最初から還付額だけを見ようとすると誤解しやすい。順番としては、まず「どの保険料が控除対象か」を見るほうがよい。

確認の流れはシンプルだ。

  • 火災保険料全体ではなく、地震保険料部分を見る
  • 控除証明書の地震保険料控除の対象額を確認する
  • 所得税と住民税で控除額の上限が違うことを分けて考える
  • 控除額は税額ではなく、所得から差し引く金額として理解する
  • 旧長期損害保険料の区分がある場合は、通常の地震保険料と混同しない
  • 家族名義、店舗併用住宅、事業用資産が絡む場合は個別に確認する

地震保険は、住宅や家財の損害に備える選択肢の一つであり、税制上の控除は、すでに支払った保険料を申告時にどう扱うかという話である。加入判断そのものは、住まいの状況、家財の価値、災害後の生活再建資金、家計の余力によって変わる。

年末調整や確定申告で確認したいのは、証明書に書かれた対象額、支払者、対象資産の用途、旧長期損害保険料の有無だ。特に火災保険と一体で契約している人ほど、保険料総額ではなく「地震保険料控除の対象額」を起点にすることで、制度の見え方がかなり整理される。

出典・参考

主な参照資料

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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