単利と複利の違いとは? 預金の利息と投資の複利効果をやさしく整理

単利と複利は、預金や資産形成の説明でよく出てくる利息計算の考え方だ。違いは「発生した利息を元本に組み入れるかどうか」にある。

この違いを知らないまま定期預金、投資信託、NISAなどの商品説明を読むと、「利率が高い」「複利だから増えやすい」といった言葉だけに目が向きやすい。だが実際の増え方は、金利、期間、利息や収益の扱い、税金、コスト、リスクによって変わる。

この記事では、単利と複利の基本を100万円・年3%・3年間の教育用計算で整理し、預金の複利と投資で語られる「複利効果」の違いも分けて確認する。

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単利と複利は「利息を元本に戻すか」で変わる

単利は、最初に預けた元本だけをもとに利息を計算する方法だ。たとえば100万円を預けた場合、毎年の利息は原則として「100万円に対して何%か」で計算される。

一方、複利は、一定期間ごとに発生した利息を元本に加え、その増えた元本に次の利息が付く考え方である。1年目の利息を元本に組み入れれば、2年目以降は「100万円より少し増えた金額」に対して利息を計算する。

金融広報中央委員会の「知るぽると」でも、複利は利子にも利子が付く仕組みとして説明され、利子を元金に組み入れない場合は単利と整理されている。つまり、単利と複利の違いは、利率そのものではなく、利息計算の土台が変わるかどうかにある。

100万円を年3%で3年間預けると、差はどのくらいか

数字で見ると、単利と複利の違いは理解しやすい。ここでは教育用の単純な例として、100万円を年3%で3年間預けた場合を考える。これは実在する預金商品の利率を示すものではなく、税金、手数料、中途解約、商品ごとの利払条件も考慮しない。

同じ100万円・年3%・3年間でも、計算方法によって元利合計は次のように変わる。

  • 単利 最初の100万円にだけ毎年3%の利息が付く。3年間の利息は9万円で、元利合計は109万円。
  • 1年複利 1年ごとに利息を元本に加える。100万円 × 1.03の3乗で、元利合計は約109万2,727円。
  • 半年複利 半年ごとに利息を元本に加える。100万円 × 1.015の6乗で、元利合計は約109万3,443円。
  • 1カ月複利 毎月、利息を元本に加える。100万円 × 1.0025の36乗で、元利合計は約109万4,051円。

この例では、単利と1カ月複利の差は約4,051円となる。同じ金利・同じ期間で比べれば、複利のほうが元利合計は大きくなりやすい。ただし、3年間・年3%という条件では、差は数千円規模にとどまる。

「複利」と聞くと大きく増える印象を持ちやすいが、実際の差は条件次第だ。期間が長く、金利が高く、利息を元本に組み入れる回数が多いほど差は広がりやすい。一方で、短期間や低金利では、複利であっても増え方は限定的になりやすい。

「複利なら大きく増える」と読み切れない理由

複利は長期の資産形成を理解するうえで大切な考え方だが、万能の合図ではない。生活実務では、「複利」という言葉だけでなく、その前提条件を確認したい。

まず、実際の預金では受取額に税金が関係する場合がある。さらに、利息をいつ受け取るのか、満期前に解約した場合にどの金利が適用されるのか、税引き後の利息がどう扱われるのかによって、最終的な手取りは変わる。

金利水準そのものも大きい。複利は「利息にも利息が付く」仕組みだが、そもそもの利息が小さければ、利息に付く利息も小さい。低金利の預金では、複利表示であっても、単利との差が家計に大きな影響を与えるとは限らない。

金融商品の説明を読むときに確認したい点は、主に次の5つだ。

  • 年何%で計算されているか
  • どれくらいの期間、預けるまたは運用する前提か
  • 利息や収益を受け取るのか、元本に組み入れるのか
  • 表示された増加額が税金やコストを考えた後の手取りと同じか
  • 満期前の解約や条件変更で、想定した利息が変わるか

複利は計算上、元利合計が大きくなりやすい仕組みではある。ただし、実際の商品説明では、単利か複利かだけでなく条件全体を並べて読むほうが、増え方を落ち着いて理解しやすい。

預金の複利と投資の「複利効果」は同じではない

NISAや投資信託の説明でも、「複利効果」という言葉はよく使われる。金融庁のNISA特設ウェブサイトでも、長期投資では複利の効果が大きくなるという趣旨の説明があり、得た収益を元本に加えて運用する考え方が示されている。

ただし、預金の複利と投資の複利的効果は分けて考えたい。

預金では、一定の条件のもとで利息の計算方法が決まる。元本、金利、期間、利払方法が決まれば、税金などを別にして計算の道筋は比較的見えやすい。

一方、株式や投資信託は価格が変動する。分配金を受け取らず再投資する場合や、配当を再び投資に回す場合、資産がさらに収益を生む形になれば、複利に似た効果が期待されることがある。しかし、投資対象の価格が下がれば元本割れすることもある。

金融庁資料でも、株式や投資信託には元本割れのおそれがあることが示されている。投資の文脈では、「複利効果があるから確実に増える」ではなく、「収益を再投資し、長期で運用した場合に、結果として資産形成に寄与する可能性がある」と捉えるほうが実態に近い。

家計で使うなら、利率より先に「増え方の条件」を確認する

単利と複利は、試験用語として覚えるだけではもったいない。家計管理では、預金商品の満期時受取額を見積もるときや、資産形成の説明を読むときの基本になる。

定期預金なら、単利か複利か、利息は満期時にまとめて受け取るのか、一定期間ごとに元本へ組み入れられるのかを確認したい。積立や投資信託なら、収益を受け取るのか、再投資するのか、コストや税金を差し引いた後にどのような成果になるのかが読みどころになる。

FP試験などで学ぶ単利・複利の計算は、現実の商品条件を単純化した例であることも多い。実際の商品では、税金、手数料、販売会社ごとの扱い、商品説明書の条件が加わる。

それでも、単利と複利の違いを押さえておく意味は大きい。将来の受取額を過大に期待しすぎず、反対に複利の仕組みや影響を見落としすぎないためのものさしになるからだ。

最後に確認したいのは「複利かどうか」だけではない

単利と複利の違いは、「利息を元本に組み入れるかどうか」で整理できる。複利は、利息が次の利息を生むため、長期になるほど差が広がりやすい。一方で、短期間、低金利、税金やコストを考えた後では、差が小さくなる場合もある。

預金では、単利か複利かに加えて、利払方法、満期、中途解約、税引き後の受取額が確認材料になる。投資では、再投資による複利的効果を理解しつつ、元本変動リスクと切り離さずに読むことが大切な確認点になる。

金融商品の説明で「複利」という言葉を見たときは、金利、期間、利息や収益の扱い、税金、コスト、リスクを並べて考える。そうすると、預金や資産形成の説明を、期待だけでも不安だけでもなく、仕組みから読み解きやすくなる。

出典・参考

主な参照資料

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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