りそなHDと第一ライフ・JCBの協業 銀行口座は生活サービスの入口になるか

りそなホールディングスが、銀行口座の価値を高めるための新しい協業に動いた。生命保険大手の第一ライフグループ、クレジットカード大手のJCBと、個人向けサービスの分野で協業を進めることで合意した。

表面的には、口座を持つ人に優待サービスやポイントを提供する取り組みに見える。ただ、その背景には、銀行業界で再び重要になっている「預金をどう集めるか」という競争軸がある。日銀の利上げ以降、日本でも金利のある世界が戻りつつあり、銀行にとって預金の存在感が高まっているためだ。

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りそなプラスで何が変わるのか

りそなHDは2026年5月18日、第一ライフグループ、JCBと協業に向けた基本合意を結んだ。りそなHDは東証プライム上場で証券コードは8308、第一ライフグループは8750、JCBは非上場企業である。

りそなグループは、2026年9月下旬をめどに個人向けサービス「りそなプラス」を始める予定だ。第一弾では、りそなグループの口座を持つ人が、第一ライフグループ傘下のベネフィット・ワンによる優待サービスを利用できるようにする。素材では、国内外140万件以上の優待コンテンツを、りそなグループアプリを通じて使えるようにする構想とされている。

さらに、銀行口座の取引状況に応じて、JCB関連のポイントを付与する連携も進める。銀行口座、優待、カード、ポイントを結びつけることで、口座を単なる預金の置き場ではなく、日常生活の入口に近づける狙いがあるとみられる。

なぜ銀行口座に優待やポイントを付けるのか

銀行にとって、預金は貸出や運用の原資になる。長く低金利が続いた時代には、預金を集めても収益につなげにくい面があった。しかし、金利が上がる局面では、安定した預金を持つことの意味が大きくなる。

ただし、預金金利だけで顧客を集めようとすると、銀行同士の金利競争になりやすい。少しでも高い金利を出す銀行があれば、顧客は資金を移しやすいからだ。

そこで重要になるのが、日常的に使われる口座である。給与振込、公共料金の引き落とし、クレジットカード決済、ポイント、保険、優待サービスなどが結びついた口座は、顧客にとって乗り換えにくい。りそなHDには、こうした「使い続ける理由」を持つ口座を増やす狙いがあるとみられる。

JR西日本との提携も同じ流れにある

りそなHDは、2026年5月1日にもJR西日本との資本業務提携を発表している。JR西日本は、りそなHD傘下の関西みらい銀行株式の20%を取得する予定で、取得総額は900億円規模とされる。JR西日本は東証プライム上場で証券コードは9021である。

この提携では、鉄道会社が持つ移動や地域の顧客基盤と、銀行が持つ預金、決済、ローンなどの金融機能を組み合わせる狙いがある。新しい銀行サービス事業の開始は2027年度中、合弁会社の設立は2028年度中が予定されている。

第一ライフグループ、JCBとの協業と、JR西日本との提携は別々の話に見える。しかし、どちらも銀行口座を生活の中に組み込もうとする動きとして見ると、同じ方向を向いている。保険、カード、鉄道という異なる業種との連携を通じて、りそなは金融単独ではなく、生活全体に接点を持つサービス基盤を広げようとしている。

高金利だけでは差がつきにくくなる

銀行業界では、メガバンクもネット証券やカード会社などとの連携を進めている。顧客がスマートフォンで金融サービスを選ぶ時代になり、銀行の店舗網だけで顧客をつなぎ止めることは難しくなっている。

金利がある世界では、預金の獲得競争が強まる。一方で、金利だけを前面に出す競争は、銀行にとって負担も大きい。だからこそ、ポイントや優待、アプリの使いやすさ、決済との連携、生活サービスとの接点が重要になりつつある。

利用者にとっても、銀行選びの基準は変わりつつある。預金金利だけでなく、普段の支払いでポイントがたまるか、生活に関わる優待があるか、アプリで管理しやすいかといった要素が、口座を使い続ける理由になりやすい。

銀行口座の競争軸が変わりつつある

今回の協業は、りそなHDが第一ライフグループやJCBと組んだという企業ニュースにとどまらない。銀行口座そのものの役割が変わりつつあることを示している。

かつて銀行口座は、給与を受け取り、お金を預け、必要に応じて引き出すためのものだった。これからは、決済、ポイント、優待、保険、移動、地域サービスなどと結びつき、生活の中で何度も使われる接点になっていく可能性がある。

りそなHDの動きは、金利上昇時代の銀行ビジネスを考えるうえで象徴的である。預金を集める競争は、単に高い金利を提示する競争ではなく、顧客が日常的に使いたくなる口座をつくる競争へ移りつつある。

(本稿は各種公開情報をもとに作成した。一部数値は記事掲載時点の情報である)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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