保険料はどう決まる? 予定死亡率・予定利率・予定事業費率をわかりやすく解説

同じ生命保険でも、保険金額や保険期間、払込期間などの条件が違うと、月々の保険料には差が出る。年齢が上がるほど高くなりやすいことは想像しやすいが、なぜその金額になるのかは見えにくい。

生命保険の保険料は、保険会社が感覚で決めているわけではない。将来どれくらい保険金の支払いが起こりそうか、集めた保険料をどれくらいの前提で運用できそうか、契約を維持するのにどれくらいの費用がかかるか。そうした見込みをもとに、数理的な前提を置いて組み立てられている。

この記事では、保険料の基本構造を、予定死亡率・予定利率・予定事業費率という3つの言葉から順に整理する。掛け捨て型がなぜ安く見えやすいのかも、保険料の仕組みから落ち着いて見ていく。

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保険料は何をもとに決まるのか

生命保険の保険料は、単に「保障額が大きいから高い」「年齢が高いから高い」で決まるわけではない。その背景には、大きく3つの見込みがある。

  • 将来どれくらい保険金や給付金の支払いが起こりそうか
  • 集めた保険料をどれくらいの前提で運用できそうか
  • 契約を引き受け、維持し、管理するのにどれくらい費用がかかるか

保険料は、将来の支払いに備えるためのお金であると同時に、保険という仕組みを長く運営していくための費用でもある。この全体像を押さえると、保険料の差を感覚だけで見ずに済む。

保険料を決める3つの予定基礎率とは

生命保険の保険料は、一般に予定死亡率・予定利率・予定事業費率という3つの予定基礎率にもとづいて計算される。

難しく見えるが、意味はそれほど複雑ではない。予定死亡率は「支払い見込み」、予定利率は「運用見込み」、予定事業費率は「経費見込み」を表す考え方だ。この3つを組み合わせて、契約時点の保険料の土台を作っている。

予定死亡率とは何か

予定死亡率とは、統計にもとづいて保険会社が事前に見込む死亡率のことだ。生命保険の基礎説明では、日本アクチュアリー会が作成した標準生命表などをもとに、将来の保険金支払いに必要な額を見積もる考え方が示されている。

死亡保険では、死亡する人が多いと見込まれるほど、保険会社が支払う保険金総額も増えやすい。そのため、保険料は高くなりやすい。逆に、死亡率が低いと見込まれれば、保険料を抑えやすい方向に働く。

ただし、この考え方は保険の種類によって見え方が変わる。個人年金保険のように長生きに備える商品では、長生きの見込みが高まるほど年金を支払う期間が長くなり、支払い総額が増えやすい。つまり同じ「死亡率が低い」という状況でも、死亡保険では保険料を抑える方向に働き、年金系では逆方向に効くことがある。

予定利率とは何か

予定利率とは、保険会社が将来の運用収益を見込み、その分を考慮して必要な保険料を一定の利率で割り引く前提のことだ。

保険会社は、集めた保険料をそのまま置いておくわけではない。将来の保険金支払いに備えながら、一定の前提で運用する。そのため、運用益をある程度見込めるなら、そのぶん契約者から集める保険料を抑えやすくなる。

  • 予定利率が高いほど、保険料は抑えやすい
  • 予定利率が低いほど、保険料は高くなりやすい

市場金利と無関係ではないが、単純に同じ動きをするわけでもない。生命保険は長期契約を前提とするため、予定利率は短期の金利変動だけで決まるのではなく、比較的保守的な水準で置かれやすい。

予定事業費率とは何か

予定事業費率とは、保険会社が契約を引き受け、保険料を集め、契約を維持管理するために必要な費用をどれくらい見込むかという考え方だ。

生命保険は、加入した時点で終わる商品ではない。契約内容の管理、保険料の収納、各種通知、保険金や給付金の請求対応など、長い期間にわたって多くの業務が続く。こうした費用には、新契約にかかる費用、集金にかかる費用、契約維持にかかる費用などが含まれる。

言い換えると、保険料には「保障そのものに備えるお金」だけでなく、「保険という仕組みを回すコスト」も含まれている。

純保険料と付加保険料とは

保険料の中身は、大きく純保険料and 付加保険料に分けて考えられる。

純保険料は、将来の保険金や給付金の支払いにあてるための部分だ。保障そのものの原資になる。

一方の付加保険料は、保険会社が事業を運営するための費用にあてる部分だ。契約の締結、維持管理、事務処理、顧客対応などにかかるコストがここに含まれる。

実際には、契約者はひとまとめの保険料を払っているが、その内訳にはこの2つがある。保険料の高い安いを比べるときは、保障内容だけでなく、こうした構造も背景にあると理解しておくと判断しやすい。

なぜ掛け捨て型は安くなりやすいのか

掛け捨て型の保険は、満期保険金がないか、解約返戻金があっても小さい設計になっていることが多い。つまり、保険会社が将来契約者に返すお金を大きく見込まないぶん、保険料を抑えやすい。

一方、貯蓄型の保険は、満期保険金や解約返戻金を支払う前提で設計されている。その分の原資も保険料に含まれるため、同じ保障額でも保険料が高くなりやすい。

掛け捨て型が安いのは、保障の価値が低いからではない。将来受け取る機能を絞った設計であることが、保険料を抑えやすい大きな理由だ。だからこそ、掛け捨て型が損、貯蓄型が得と単純に分けて考えるのは危うい。

保険料を見るときは「安さ」だけで決めない

保険料が安くても、必要な保障が足りなければ意味がない。逆に、貯蓄型で保険料が高くても、自分の目的に合っていなければ家計の負担が重くなるだけだ。

保険を選ぶときは、次の順で考えると整理しやすい。

  1. まず何に備えたいのかを明確にする
  2. その目的に必要な保障内容を確認する
  3. 保険料が家計の中で無理なく続けられるかを見る

保険料は「安いほうが正解」という単純な話ではない。備えたい内容と家計のバランスの中で見るべき固定費だ。

保険料の仕組みが分かると、保険選びが落ち着いて見える

「なぜこの保険は安いのか」「なぜ同じように見えて差があるのか」という疑問は、予定死亡率・予定利率・予定事業費率と、純保険料・付加保険料の構造を知ることでかなり整理できる。

価格だけを見て焦るのではなく、その背景にある仕組みを見る習慣があれば、保険選びは落ち着いて進めやすい。保険料の仕組みを知ることは、安い保険を探すためというより、何にお金を払っているのかを理解するために役立つ。

次は、定期保険や終身保険、養老保険、個人年金保険といった商品ごとの特徴と照らし合わせていくと、この知識がさらに実用的になる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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