核のごみ最終処分、南鳥島で文献調査へ 国主導初の意味と残る論点

原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分地選定をめぐり、東京都小笠原村の南鳥島で文献調査が実施される見通しとなった。経済産業省は2026年3月3日、小笠原村に対して南鳥島での文献調査実施を申し入れており、4月21日に赤澤亮正経済産業相が渋谷正昭村長と会談して国の判断を伝え、村長が受け入れ意向を正式に表明した。

今回のポイントは、南鳥島がそのまま最終処分地に決まったわけではないことと、国が前面に立つ枠組みが具体的に動いたことの2点にある。処分場決定のニュースとしてではなく、長い選定手続きの入口として捉える必要がある。

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文献調査は何をするのか

最終処分の対象となるのは、使用済み核燃料の再処理過程で生じる高レベル放射性廃棄物だ。日本ではこれをガラスと混ぜて固めた「ガラス固化体」として管理し、最終的には地下深部に埋設する地層処分を前提としている。

その候補地を選ぶ手続きは、文献調査、概要調査、精密調査の3段階で進む。文献調査は第1段階で、地質図や論文など既存の資料を調べる机上調査にあたる。この段階では、処分施設の建設が決まるわけでも、現地で本格的な掘削調査が始まるわけでもない。

次の概要調査や精密調査へ進むには、自治体首長に加えて都道府県知事の同意も必要になる。つまり、文献調査の受け入れは選定プロセスの出発点ではあっても、処分地決定そのものではない。

今回の「初めて」はどこにあるのか

これまで文献調査が行われた自治体は、北海道の寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町の3自治体だ。寿都町は公募に応じ、神恵内村と玄海町は議会で請願が採択された後に国の申し入れを受け入れた経緯がある。

南鳥島のケースがこれらと異なるのは、自治体側の先行的な受け入れの動きがない段階で、国の判断として前に出た点だ。政府は2015年以降、最終処分問題について「国が前面に立って取り組む」としてきたが、今回はその枠組みが具体的に適用された局面といえる。

なぜ南鳥島が対象なのか

国が挙げる理由は大きく3つある。科学的特性マップで、火山や活断層などの観点から好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域とされていること。地上施設を設置しうる未利用地があること。さらに全島が国有地であることだ。

ただし、これで適地性が確定したわけではない。南鳥島は一般住民が居住していない一方、面積は限られ、本州からも遠い。地質的な候補性と、実際に輸送や建設、運用まで見通せるかは別の論点として残る。文献調査は、まさにその入口で条件を整理するための段階でもある。

無人島でも合意形成は避けられない

南鳥島そのものに一般住民は住んでいないが、行政区域としては小笠原村に含まれる。4月21日の受け入れ表明後、渋谷村長は「ここからがスタートだと思っている」と述べ、父島と母島で住民との対話の場を設ける考えも示した。

このため、今回の論点は「無人島だから進めやすい」という単純な話ではない。最終処分という長期の国家課題について、なぜ南鳥島なのか、どこまで進めるのか、村全体にどう説明するのかが今後の中心になる。

次の焦点は説明責任だ

今回の受け入れで前に進んだのは、あくまで文献調査に向けた手続きだ。一方で、国がなぜ南鳥島を対象に判断したのか、今後ほかの地域にどのような基準で働きかけるのかは、なお丁寧な説明が求められる。

最終処分問題は、地質条件だけで決まる話ではない。輸送、施設建設、地域の理解、負担の分かち合いまで含めて議論しなければ進まない。南鳥島の文献調査は、処分地決定のニュースではなく、国が前面に立つ枠組みの下で説明責任と対話が本格的に問われる局面に入ったことを示している。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
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