米金利と円安が焦点、NY株3日続伸と日本長期金利の上昇を点検
22日のニューヨーク市場では、原油価格や米長期金利の動きに落ち着きが戻り、主要株価指数はそろって3日続伸した。一方、FRB新体制の金融政策運営、中東情勢を背景にしたインフレ再燃懸念、日本の長期金利上昇と円安が、週明け以降の市場の焦点となっている。
日本市場では、日経平均株価が最高値を更新したものの、金利高や原油高が一段と進めば株価の重荷となる可能性がある。為替市場ではドル円が159円台で推移し、160円を超える円安局面では当局対応への警戒感も意識されている。
22日のニューヨーク株式市場では、主要株価指数がそろって3日続伸した。
ドル円は159円台で推移し、日本の長期金利は急ピッチで上昇している。
中東情勢、日銀の追加利上げ観測、米小売決算、為替介入への警戒が注目される。
米国金融政策・FRB
ケビン・ウォーシュ氏がFRB議長に就任、改革姿勢を示す
FRB議長にケビン・ウォーシュ氏が就任し、22日にホワイトハウスで宣誓式に臨んだ。任期は4年で、インフレ対応と雇用の最大化をどう両立するかが早くも課題となる。
ウォーシュ氏はFRB改革への意欲を示した。一方、トランプ大統領はこれまでFRBに利下げ圧力を強めてきたが、今回の宣誓式ではFRBの独立性を尊重する姿勢を示した。
FRB内ではインフレ警戒が強まり、利上げ可能性も意識
FRBのウォラー理事は、物価上昇が続く場合にはインフレ対応を優先すべきとの考えを示唆した。インフレ指標に不安定な兆候が出れば、将来的な利上げの可能性を排除できないとの認識も示している。
市場では、FRBメンバーの発言がタカ派化しているとの見方がある。中東情勢を受けた原油高がインフレに波及することへの警戒が背景にあり、利下げよりも利上げが必要になる局面も想定されている。
AIによる生産性向上と金利低下の両立には慎重な見方
ウォーシュ氏は、AIによる生産性向上がインフレを抑え、利下げを可能にするとの主張を展開している。ただ、AI関連投資には大規模な借り入れが伴いやすく、将来の所得増加期待が現在の支出を押し上げるため、むしろ金利上昇要因になり得るとの見方もある。
足元では、中東情勢の混乱に伴う原油高がインフレ再燃の要因として意識されている。トランプ政権下で政策や規制、地政学リスクの不確実性が高まれば、FRBの独立性と金融政策運営に圧力がかかる可能性がある。
米国市場・金利・商品
NY株は3日続伸、ダウは最高値を更新
294ドル高
50ポイント高
27ポイント高
22日のニューヨーク株式市場では、主要株価指数がそろって3日続伸した。ダウは294ドル高の5万579ドルとなり、最高値を更新した。ナスダックは50ポイント高の2万6,343、S&P500は27ポイント高の7,473で取引を終えた。
原油価格や米長期金利の動きに落ち着きが戻ったことが、株価の支えとなった。米国とイランの交渉をめぐり、米国務長官が「わずかながら前進」と発言したことで、イラン情勢への警戒感が一部和らいだ。
AI関連株は堅調、SOX指数も上昇
AI関連株は引き続き堅調だった。半導体株で構成されるSOX指数も上昇し、半導体関連株への買いが相場を支えた。
AIインフラ需要の加速が予想される中、デル・テクノロジーズ(DELL)は16%超、クアルコム(QCOM)は約12%上昇した。AI関連投資への期待が株式市場を支えている一方、投資拡大が金利上昇要因になるとの見方もあり、金融政策との関係が注目される。
地政学・エネルギー
米イラン交渉は佳境との見方、原油価格の反応は限定的
トランプ大統領は22日、ニューヨーク州での演説で、イランとの交渉は「もうすぐ決着するだろう」と述べた。週末に予定されていた長男の結婚式を欠席し、ワシントンにとどまる意向も示しており、交渉が佳境にあるとの見方が広がっている。
仲介国であるパキスタンのムニール陸軍元帥はイランの首都テヘランに到着した。イラン側との踏み込んだ調整に入る可能性が指摘されている。
原油価格は前日の終値近辺での値動きとなった。中東情勢への警戒が完全に後退したわけではなく、原油高が再び進めば、米国や日本のインフレ懸念を強める可能性がある。
NPT再検討会議は成果文書を採択できず閉会
ニューヨークの国連本部で約4週間にわたり開かれていたNPT核拡散防止条約再検討会議は、22日に成果文書を採択できないまま閉会した。協議の決裂は3回連続となる。
核軍縮や核不拡散をめぐる各国の立場の隔たりは大きく、イランの核開発をめぐる溝も埋まらなかった。成果文書の採択に至らなかったことで、核不拡散体制をめぐる国際協調の難しさが改めて浮き彫りとなった。
為替・円相場
ドル円は159円台、160円超では介入警戒も
22銭
161円
為替市場では、ドル円が159円19銭から22銭で推移した。米国の実質金利が相対的に優位な状況が続いていることに加え、米国が原油輸出国であり、貿易赤字の縮小が見込まれるとの見方から、ドル優勢の地合いが続くとみられている。
来週のドル円相場については、158円から161円のレンジが意識されている。円安が160円を超える水準に進めば、物価への影響を懸念する日本政府が何らかの行動を起こす可能性があるとの見方もある。
週明け25日はメモリアルデーで米国市場が休場となる。薄商いの局面では為替介入への警戒感が高まりやすいとの指摘がある。
日本経済・日銀関連
日本の長期金利は一時2.8%、29年ぶり水準
日本の長期金利は急ピッチで上昇している。18日には、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時2.8%まで上昇し、1996〜97年以来の高水準となった。22日の債券市場では、新発10年物国債利回りは2.760%で取引を終えている。
背景には、日銀が金融政策の正常化と利上げ方向を視野に入れていること、積極財政や国債増発への警戒、銀行貸し出しの伸びによって国債投資の必要性が薄れていることなどがあるとみられる。市場では、10年債利回りが3%に向かう可能性も意識されている。
日銀の追加利上げは6月から7月が焦点
7月
今後の焦点は、日銀が6月に利上げに踏み切るかどうかである。植田総裁と会談したベッセント米財務長官は、必要な余地が与えられれば優れた金融政策を実現すると確信しているとの趣旨を示した。
中東情勢など不確実要因は残るものの、市場では6月または7月の追加利上げ観測が意識されている。インフレ圧力が続く中で、日銀のターミナルレートが見えにくく、長期金利は構造的に上昇圧力を受けやすい状況にある。
財政拡張への警戒が債券市場の重荷に
高市政権のもとでは、成長投資、防衛費増額、消費減税、ガソリン補助金など、財政支出を伴う政策が相次いでいる。足元で議論されている補正予算の規模よりも、年後半から来年度予算にかけて財源がどう示されるかが市場の関心事となっている。
財政拡張への警戒が強まれば、日銀が緩やかな正常化を志向しても、長期金利の上昇ペースを抑えにくくなる可能性がある。
日本株・国内市場
日経平均は最高値更新、来週は外部環境が焦点
6万4,000円
日経平均株価は最高値を更新した。シカゴ日経平均先物は6万3,000円台前半で推移している。
来週の日経平均株価は、6万1,500円から6万4,000円のレンジが意識されている。中東情勢や金利など外部環境に左右される展開が見込まれる。金利高の中で原油価格が一段と上昇すれば、株価にはネガティブな影響となる可能性がある。
一方、企業の配当金支払いが始まるため、再投資資金が株価の下支え要因になるとの見方もある。中東情勢の安定化や米日金利の落ち着きが見えれば、日本株には上昇余地があるとみられている。
米国企業決算・企業動向
JPモルガン・チェースはPEファンド向け融資売却を検討
米金融大手JPモルガン・チェース(JPM)は、プライベートエクイティファンド向け融資の一部を売却する方向で検討していると報じられている。売却額は40億ドル規模に上る模様だ。
背景には、未上場のソフトウェア企業などの業績悪化懸念があるとされる。未上場企業への投資環境や信用リスクの変化が、金融機関のバランスシート管理に影響している可能性がある。
米小売決算は低所得層の家計悪化が焦点
米小売大手ウォルマート(WMT)の決算は、売上が増加し、事業の底堅さを示した。一方、業績見通しが市場予想を下回ったことで、決算発表後の株価は8%下落した。
米国では原油高などの影響で、特に所得の低い層の家計が厳しくなっている。低価格を武器に集客してきた小売企業の業績に懸念が出始めており、来週発表されるダラー・ツリー(DLTR)、ベスト・バイ(BBY)、コストコ(COST)などの決算でも同様の傾向が見られるかが注目される。
米国経済指標・日本の物価指標
米ミシガン大学消費者信頼感指数は過去最低
下方修正
5月のミシガン大学消費者信頼感指数の確報値は、速報値から3.4ポイント下方修正され、44.8となった。過去最低を更新した。
1年先と5年先の期待インフレ率はいずれも上方修正された。消費者が、インフレが燃料価格から他の分野に波及することを懸念しているとの指摘がある。消費者心理の悪化は、米小売企業の業績にも影響する可能性がある。
日本では企業向けサービス価格指数に注目
日本では、企業向けサービス価格指数が注目されている。先に発表された企業向けの財の価格を示すPPIは、前月比2.3%と大きく伸びた。
川上の価格上昇がサービスにも広がれば、先行きのインフレ懸念が強まる可能性がある。企業間の物価上昇はタイムラグを伴って消費者物価指数に影響するため、夏ごろに消費者物価へ波及するかが焦点となる。
今日の主な予定
週明け以降の注目イベント
25日はメモリアルデーのため、米国市場は休場となる。薄商いとなる局面では、為替介入への警戒感が高まりやすい。
27日は、日銀の植田総裁が国際コンファレンス「金融政策の新たな視野」であいさつを行う予定だ。日銀の追加利上げをめぐる市場の見方に影響する可能性がある。
28日は、ダラー・ツリー(DLTR)、ベスト・バイ(BBY)、コストコ(COST)など米小売大手の決算発表が予定されている。原油高や物価高による家計への影響が、企業業績にどの程度表れているかが焦点となる。
29日は、為替介入の実績に関する公表が意識される。円安が進む中で、当局の対応姿勢を見極める材料となる。

