9週間連続で下がっていたコメの店頭価格が、ここで小幅に反発した。
農林水産省のPOSデータに基づく調査によると、4月13日から19日までの1週間に全国のスーパー約1000店で販売されたコメの平均価格は、5キロ当たり税込み3883円だった。前の週より10円高く、値上がりは10週ぶりとなった。
ただし、これだけで「コメ価格が再び上昇局面に入った」と見るのは早い。農水省は、2025年産米の在庫が多いことなどを背景に、値下がり傾向は続くとの見方を示している。今回の動きは、下落基調の中で起きた小幅な反発と見るのが自然だ。
何が10週ぶりに上がったのか
内訳を見ると、産地と品種が単一の銘柄米は3947円で前週比6円高、複数の産地や品種を混ぜたブレンド米などは3676円で17円高だった。いずれも上昇幅は小さい。
前週の平均価格は3873円だった。9週連続で値下がりした後の10円高であり、消費者にとっては気になる動きだが、価格の流れそのものを大きく変えるほどの上昇とは言いにくい。
それでも、5キロ3883円という水準は家計には重い。かつての価格感覚から見れば、下がっている途中であっても「まだ高い」と受け止められやすい。
在庫は多いのに、なぜすぐ安くならないのか
農水省は、2025年産米について在庫が多い状況とみている。在庫を軽くするため、小売業者や卸売業者の間で価格を下げて販売する動きもあるとされる。
では、なぜ店頭価格はすぐに大きく下がらないのか。
理由の一つは、流通段階で価格がすぐには切り替わらないことだ。コメは生産者から集荷業者、卸売業者、小売店へと段階的に流れる。小売店が高い仕入れ価格の在庫を抱えている間は、卸売段階で価格が下がり始めても、店頭価格に反映されるまで時間がかかりやすい。
もう一つは、平均価格と実際の店頭価格のずれだ。3883円は全国平均であり、地域、店舗、銘柄、特売の有無によって消費者が実際に目にする価格は変わる。平均では下がっていても、近所のスーパーではあまり変わらないということは起こり得る。
値下がり傾向でも家計の実感は遅れやすい
農水省の見方は、在庫の多さを背景に値下がり傾向は続くというものだ。市場関係者の間でも、先安観は残っている。
ただ、家計の実感としては、値下がりしているのにまだ十分に安くなっていないという状態が続きやすい。米類は、総務省の消費者物価指数でも2020年を100とする指数で200を超える水準にある。パンやめん類と比べても、米類の上昇感は大きい。
統計上の下落と、生活者が感じる高さは、同じ速度では動かない。店頭価格が下がり始めても、家計が楽になったと感じるまでには時間差がある。
Summary
今回のコメ価格は、5キロ3883円と10週ぶりに値上がりした。ただ、上昇幅は10円にとどまり、農水省は値下がり傾向が続くとの見方を維持している。
ポイントは、在庫が多いことと、家計がすぐに安さを感じられることは別だという点にある。仕入れ在庫のタイムラグや地域差があるため、価格低下が生活実感に届くまでには時間がかかる。コメ価格のニュースを見るうえでは、「平均価格が下がること」と「毎日の買い物が楽になること」を分けて考える必要がある。
(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

