リタイアメントプランニングとは?(1)老後資金の考え方と年金以外の収入源をやさしく解説

老後のお金について考えるとき、多くの人がまず気にするのは「年金はいくらもらえるか」「貯金はどのくらい必要か」といった点ではないでしょうか。もちろんそれは大切な問いですが、老後の生活設計は、お金の量だけで決まるものではありません。何歳まで働くか、どんな暮らしをしたいか、住まいをどう活用するか。こうした要素が絡み合って、老後の生活は成り立っています。そうした全体像を考えることを「リタイアメントプランニング」と呼びます。この記事では、その考え方の基本と、年金以外にどのような老後収入の選択肢があるかを整理します。

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リタイアメントプランニングとは何か

リタイアメントプランニングとは、退職後や老後の生活設計を考えることです。日本語にすると少しかたく聞こえますが、要は「老後をどう生きるかを、今から考えておくこと」です。

単純な貯金計画とは少し違います。何歳まで働くか、定年後も仕事を続けるか、どこに住むか、どのくらいの生活費が必要か。こうしたことすべてがリタイアメントプランニングの対象です。老後の暮らしの設計図を、自分なりに描いていくイメージです。

近年は平均寿命が高い水準で推移し、老後の期間が長くなりやすくなっています。20年から30年、あるいはそれ以上の期間をどう過ごすかは、早めに考え始めるほど選択肢が広がります。

老後生活資金は何で成り立つのか

老後の生活資金は、一般的には公的年金、退職金、貯蓄がベースになりやすいといえます。

ただし、年金の受取額は、これまでの働き方や加入歴によって人それぞれです。会社員として長く厚生年金に加入してきた人と、自営業者として国民年金を中心に加入してきた人では、受け取れる年金額に差が出ます。退職金も、会社や雇用形態によってある人もいれば、ない人もいます。

つまり、老後資金に万人共通の正解はありません。大切なのは、収入と支出のバランスを自分の状況で考えることです。老後は医療費や介護費がかかる可能性もありますし、住居のリフォームが必要になる場合もあります。支出の側もある程度見通しておくことで、必要な備えの全体像が見えてきます。

老後のお金は年金だけで考えないほうがよい理由

公的年金は、老後生活を支える重要な基盤です。現役時代に保険料を納めてきた結果として、定期的な収入が見込める仕組みであり、老後の安心感において大きな意味を持ちます。

一方で、年金額は加入歴や賃金水準、受給開始の時期、毎年度の改定などの影響を受けます。生活のスタイルや支出の水準によっては、年金収入だけで全てをまかなえるとは限りません。これは年金制度を否定する話ではなく、個人差が大きいという現実を踏まえた考え方です。

だからこそ、年金を土台としつつ、それ以外の収入源もあわせて考えておくことが重要です。複数の手段を持っておくことで、想定外の支出や環境の変化にも対応しやすくなります。

年金以外の老後収入にはどんなものがあるか

年金以外で老後に収入を得る手段は、大きく分けていくつかあります。

まず、資産運用による収入です。現役時代に積み立てた資産を運用し、利息や分配金などを老後の収入の一部とする考え方です。株式や債券、投資信託などがこれに含まれます。

次に、仕事による収入です。体力や健康状態、本人の希望にもよりますが、定年後も何らかの仕事を続ける人は少なくありません。フルタイムではなく、パートや短時間勤務、業務委託など、働き方の選択肢も広がっています。

また、自宅など資産の活用という考え方もあります。自宅を持っている人は、その資産価値を老後資金に活用できる場合があります。後述するリバースモーゲージなどがその例です。

このほか、個人年金保険などの私的年金や、不動産を保有している場合の家賃収入なども、老後の収入源になりえます。どの手段が適しているかは、個人の状況によって異なります。

老後の資産運用で大切なのは増やすことだけではない

老後の資産運用は、現役時代の資産形成とは少し考え方が異なります。

現役時代は、長い時間を味方につけて資産を増やすことが主な目的になりやすいですが、老後はそれだけではありません。生活費として引き出しながら使っていく局面になるため、必要なときに必要な金額を使えることが重要になります。

つまり、リスクを取って大きく増やすことよりも、安全に持ち続けられることと、いざとなれば現金化しやすいことを重視する考え方が基本になります。老後の資産運用は、守りながら活用するバランスが問われます。

退職後も働くという選択肢

老後の収入源として、仕事による収入も重要な選択肢のひとつです。健康で意欲があれば、定年後も働き続けることは十分に現実的です。

こうした就業環境に関わる制度として、高年齢者雇用安定法があります。

この法律では、定年を設ける場合、その定年年齢は原則として60歳を下回ることができません。また、65歳未満で定年を設けている企業は、65歳までの雇用確保措置を講じる必要があります。具体的には、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年制の廃止のいずれかです。

さらに2021年4月からは、65歳から70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務として加わりました。ここでいう就業機会確保には、継続雇用だけでなく、業務委託契約や社会貢献事業への参加などが含まれる場合があります。高年齢者が長く社会とかかわれる環境は、少しずつ広がっています。

マイホームを活用して老後資金を考える方法もある

自宅は住む場所であると同時に、財産でもあります。そのため、老後資金の確保に自宅を活用するという考え方もあります。

その一つがリバースモーゲージです。これは、自宅を担保にして金融機関などから融資を受ける仕組みです。自宅に住み続けながら資金を受け取れる点が特徴ですが、対象物件、利用できる年齢、資金使途、金利、相続時の扱いは商品によって大きく異なります。

実際には、住宅の購入やリフォーム、住宅ローンの借り換えなど、資金使途が比較的限定されている商品もあります。住み続けられる点だけで判断するのではなく、何に使えるのか、返済はどうなるのか、家族への影響はあるのかまで確認してから検討することが大切です。

リタイアメントプランニングを考えるときの基本姿勢

老後のお金を考えるうえで大切なのは、一つの方法だけに頼らないことです。年金、貯蓄、退職金、仕事、資産の活用には、それぞれ特徴と限界があります。組み合わせて考えることで、より安定した老後設計につながります。

また、早くから考え始めるほど、選択肢を持ちやすいというメリットがあります。老後まで時間があるうちは、資産形成や働き方の調整など、動ける余地が大きいからです。

そして、老後設計に一律の正解はありません。家族構成、健康状態、住まい、希望する生活水準によって、それぞれに合ったかたちは異なります。他人と比較するよりも、自分の状況をベースに考えることが、現実的なプランニングにつながります。

Summary

リタイアメントプランニングとは、退職後や老後の暮らし全体を考えることです。老後資金は、一般的には年金、退職金、貯蓄がベースになりますが、それだけで全てをまかなえるかどうかは人によって異なります。

だからこそ、年金以外の収入源である資産運用、仕事、自宅の活用なども含めて組み合わせて考えることが重要です。老後の設計に決まった答えはありませんが、複数の手段を理解しておくことが、自分に合った備えへの第一歩になります。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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