JAPEXが警戒する中東リスク LNG代替調達でも残るコスト高

石油資源開発(JAPEX、東証プライム:1662)の山下通郎社長は2026年4月22日の記者会見で、中東情勢は「二転三転、四転していて楽観できない」と述べ、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が解除された後も「一定程度の影響が残るリスクがある」との認識を示した。

JAPEXは中東でイラク南部のガラフ油田事業に参画し、LNGも調達している。今回の発言は、原油価格の動きだけでなく、代替調達や物流正常化の遅れが企業収益にどう響くかを示したものといえる。

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LNGは確保してもコストは重くなる

JAPEXが4月17日に公表した資料によると、同社は2026年度第1四半期にペルシャ湾内から調達する予定だったLNGカーゴ2隻分を、他産地からスポットで代替調達した。天然ガス供給や電力供給に支障が生じる懸念はない一方、調達コストは中東情勢の緊迫化前に比べて大幅に上昇する見込みだという。

ここで見えてくるのは、量の確保と採算の維持が別問題だという点だ。代替調達ができても、スポット調達や輸送条件の悪化が続けば、収益への圧迫は残る。

通航可否と正常化は同じではない

山下社長は4月22日の会見で、影響が収まる時期について「3か月か半年か予断を許さない」と述べた。ロイターが同日に伝えた海運業界トップの発言でも、安全で持続的な通航が確認できるまでは、本格的な物流回復は見込みにくいとの見方が示されている。

海峡の通航再開が示されても、保険料や用船料、船会社の運航判断がすぐ平常化するとは限らない。法的に通れることと、実務上の正常化が進むことは同じではない。

日本全体は直ちに供給危機なのか

ロイターが3月に伝えた経済産業省のデータでは、日本がホルムズ海峡経由で受け取るLNGは年約400万トンで、全輸入量の約6%にあたる。主要電力会社のLNG在庫も当時は一定水準にあり、政府は直ちに電力・ガスの安定供給に大きな支障が出る状況ではないとしていた。

ただし、これは短期の需給がすぐ崩れるわけではないという意味にとどまる。代替調達が長引けば、電力・ガス会社の調達費用やエネルギー価格に波及する可能性は残る。

ガラフ油田停止と長期計画の間

JAPEXの4月17日開示では、イラク政府による不可抗力宣言を受け、ガラフ油田は生産操業と出荷を停止し、再開の見込みは立っていない。これにより、同事業からの売上を見込めない状況になっている。

一方、JAPEXは4月22日に2035年度までの経営計画も公表した。中東情勢の具体的な影響額についてはなお精査中で、2027年3月期業績予想に織り込んだうえで5月13日に公表するとしている。成長戦略を進める一方で、足元では地政学リスクの定量化が続く局面だ。

いま見るべき論点

今回のJAPEX発言が示したのは、エネルギー危機が「止まるか、止まらないか」だけでは測れないということだ。供給をつないでも、調達コストや物流正常化の遅れが企業収益を圧迫する余地は残る。

中東情勢を読むうえでは、原油価格の上下だけでなく、代替調達の負担と正常化までの時間差をどうみるかが重要になる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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