ポテトチップスも再値上げ、カルビー年内3回目の価格改定で見える食品高の重さ

ポテトチップスやじゃがりこが、2026年9月からまた値上げの対象になる。カルビーは9月1日の納品分から順次、一部商品の価格を引き上げ、別の一部商品では価格を据え置いたまま内容量を減らす。2月、6月に続く年内3回目の価格改定で、身近な菓子にもコスト高の影響が残っている。

意外なのは、食品値上げ全体の品目数だけを見れば、前年より落ち着いたペースとされている点だ。それでも、日常的に買う商品では価格上昇や内容量の減少が続く。家計が感じる物価高は、統計上の「値上げ品目数」だけでは測りきれない。

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何がどれくらい変わるのか

カルビーの価格改定対象は、ポテトチップス7品とじゃがりこ18品の計25品だ。店頭での想定改定率は、ポテトチップスが5〜10%程度、じゃがりこが3〜10%程度とされている。

これとは別に、ポテトチップス3品では価格を据え置いたまま内容量を減らす。さらに、ポテトチップス8品は新規格の商品として発売される。報道によって対象品目数の表現が異なるのは、価格改定、内容量変更、新規格商品をどこまで含めるかが違うためだ。

消費者から見ると、変化は二つある。ひとつはレジで支払う金額が上がる値上げ。もうひとつは、同じ価格でも中身が少なくなる実質値上げだ。後者は値札だけでは分かりにくいが、1グラムあたりの価格は上がる。

なぜまた値上げになったのか

今回の主な理由は、ジャガイモなどの原材料価格に加え、物流費や人件費といったコストの上昇だ。ポテトチップスは単価が比較的低く、原料、油、包装、輸送、人件費など複数の費用が積み重なって価格に反映される。

低単価商品の場合、数円から十数円のコスト増でも採算への影響は小さくない。一般に、価格を上げれば買い控えにつながる可能性があり、価格を据え置けば利益を圧迫しやすい。そのため、価格改定と内容量変更を組み合わせる対応が取られることがある。

ここで注意したいのは、今回の9月改定と中東情勢を直接結びつけないことだ。カルビーは今回の値上げについて、中東情勢に伴う原油価格の上昇などは要因ではないと説明している。今回の価格改定は、まずジャガイモ、物流費、人件費などの上昇を軸に見る必要がある。

実質値上げはなぜ気づきにくいのか

値上げは、商品の価格そのものが上がることだ。たとえば、同じ内容量の商品が160円から170円になるような場合を指す。

一方、実質値上げは、価格を変えずに内容量を減らす方法である。支払う金額は同じでも、買える量が少なくなるため、単位あたりの負担は増える。食品業界では「ステルス値上げ」と呼ばれることもある。

今回のように、価格改定と実質値上げが同時に出てくると、家計への影響は見えにくくなる。レシート上の金額だけでは変化が小さく見えても、内容量が減っていれば実際の負担は増している。食品価格を見るときは、「いくらになったか」と同時に「何グラム入っているか」も重要になる。

食品値上げは本当に落ち着いたのか

帝国データバンクが2026年4月30日に公表した食品価格改定動向調査では、主要食品メーカー195社の2026年の値上げは、予定を含めて1〜9月累計6290品目とされている。前年同時期に比べると6割減ペースだ。

ただし、1回あたりの平均値上げ率は15%程度で、前年通年と同程度の水準にある。食品分野別では、調味料が2053品目、加工食品が1993品目、酒類・飲料が1074品目と多く、菓子も593品目に上る。

つまり、値上げの品目数だけを見れば一時期より落ち着いているように見えるが、個々の商品ではなお大きめの改定が続いている。特に菓子や加工食品のように日常的に買う商品では、数十円の差や内容量の変化が繰り返し積み重なり、家計の負担感として残りやすい。

包装資材の問題とは分けて見る必要がある

カルビーをめぐっては、別件として包装資材対応も報じられている。中東情勢の悪化に伴うナフサ供給不安を背景に、一部商品のパッケージを白黒2色印刷に切り替える対応だ。ナフサは石油由来の基礎原料で、包装フィルムやインクなどに関係する。

この包装資材の話は、今回の9月値上げの直接要因とは別に整理したほうがよい。カルビー自身も、今回の値上げは中東情勢による原油価格上昇が要因ではないとしている。

ただし、別件だから無関係というわけでもない。帝国データバンクの調査では、2026年の値上げ要因として「原材料高」が99.6%、「包装・資材」が69.9%、「物流費」が73.6%に上っている。食品の価格は、農産物の収穫や原料価格だけでなく、包材、印刷、輸送、人件費まで含めた複数のコストで決まる。

家計はどこを見ればよいのか

消費者にとって大事なのは、「値上げされたかどうか」だけで判断しないことだ。価格、内容量、1個あたりまたは1グラムあたりの単価を見ると、実際の負担が分かりやすくなる。

いつも買っている商品が同じ価格のままでも、内容量が減っていれば実質的には高くなっている。逆に、価格が上がっていても内容量や規格が変わっていれば、単純な値札の比較だけでは判断しにくい場合もある。

もちろん、日々の買い物で毎回細かく計算するのは現実的ではない。それでも、よく買う商品ほど、価格だけでなく内容量の変化にも目を向けると、家計の見え方は少し変わる。

身近な菓子の価格は、物価高の入口になる

カルビーは東証プライム上場企業で、証券コードは2229。ポテトチップス、じゃがりこ、Jagabee、かっぱえびせん、フルグラなど、日常的に手に取られる商品を多く展開している。

その主力商品が年内3回目の価格改定に向かうことは、家計が物価高を感じやすい商品で価格改定が続いていることを示す。大きな経済指標だけでは見えにくい負担は、いつもの袋菓子の値札や内容量の変化にも表れる。

食品の値上げは、単に「高くなった」で終わる話ではない。価格、量、原材料、包装、物流がどう変わっているのかを見ることで、物価高の実像は少し立体的に見えてくる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成した。一部数値は記事掲載時点の情報である)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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