国連安保理、ガザ即時停戦決議案を米国が拒否権で否決

ガザ情勢をめぐる国連安保理の動き

2025年6月4日、国連安全保障理事会(安保理)では、深刻な人道危機が続くパレスチナ自治区ガザに対して即時かつ恒久的な停戦、人質全員の解放、人道支援物資の搬入制限解除を求める決議案が提出されました。この決議案は非常任理事国10カ国が共同提出し、スロベニアのジュボガール国連大使は「安保理は緊急かつ断固とした行動をとらなければならない」と危機感を強調しました。

米国が拒否権行使、決議案は否決

採決では、15理事国のうち英国、中国、ロシアなどを含む14カ国が賛成しましたが、米国は拒否権を行使し、決議案は否決されました。トランプ政権発足後、米国による拒否権行使は初めてとなります。米国のシェイ国連臨時代理大使は「決議案は停戦に向けた外交努力を損ない、ハマスをつけあがらせる」として強く反対し、停戦合意に向けた独自の外交路線を主張しました。

悪化するガザの人道状況

ガザでは、2024年1月に成立した停戦合意が3月に失効して以降、情勢がさらに悪化。パレスチナのマンスール国連大使は「全人口が飢餓の危険にさらされている唯一の地域」と訴えています。人道物資の搬入も制限されており、米国とイスラエルが主導する「ガザ人道財団(GHF)」による配給も混乱が続いています。国連人道問題調整事務所は「住民のニーズを満たせていない」と指摘します。

各国の反応と安保理機能不全への批判

米国の拒否権行使に対しては、各国から厳しい批判が相次ぎました。英国やフランスは「安保理の意見不一致を遺憾」とコメント。中国やパキスタンは「米国が拒否権を乱用し、ガザの人々の希望を打ち砕いた」「パレスチナ人の命を使い捨てにする危険なメッセージだ」と強く非難しました。安保理の機能不全、人道危機への対応力不足が改めて浮き彫りになりました。

米国の立場と停戦交渉の行方

アメリカは「無条件の停戦要請は外交努力を損なう」「ハマスの武装解除やガザからの撤退を盛り込まない決議には賛同できない」と主張。バイデン前政権もイスラエル寄りの姿勢で停戦勧告を妨げてきましたが、トランプ政権になってさらに強硬なイスラエル支持に転じたと国連外交筋は見ています。

一方で、アメリカ主導の停戦交渉も進展がみられず、トランプ大統領は5月末に「一時停戦合意が近い」と発言したものの、ハマス側は修正を要求し、先行きは依然不透明です。

まとめ ― 停戦実現への課題と国際社会の分断

今回の決議案否決は、ガザの人道危機が深刻さを増す中で、国連安保理が有効な対応策を打ち出せない現状を浮き彫りにしました。米国は停戦決議案の否決により、イスラエル支持を一層鮮明にする一方、他の理事国や国際社会との溝も拡大しています。停戦の実現には、各国の外交的歩み寄りと、現地住民の安全確保に向けた具体的な対応が改めて求められています。

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CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
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