中国景気は「製造業堅調」でも内需に弱さ 4月PMIが示した回復の濃淡

中国の4月の製造業PMIは50.3となり、景気判断の節目である50を2か月連続で上回った。前月の50.4からは小幅に下がったものの、工場の生産や受注はなお拡大圏にある。

ただし、今回の数字を単純に「中国景気が回復している」と読むのは早い。サービス業や建設業を含む非製造業PMIは49.4に低下し、2か月ぶりに50を下回った。製造業は持ちこたえている一方で、国内需要の弱さと、イラン情勢を背景にしたエネルギー価格上昇への警戒が、景気の先行きに影を落としている。

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何が予想と違ったのか

中国国家統計局が4月30日に発表した4月の製造業PMIは50.3だった。PMIは「購買担当者景況感指数」と呼ばれ、企業の購買担当者に生産や受注、在庫、価格などの状況を聞き取り、景気の方向感を示す指標だ。一般に50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気縮小を示す。

4月の製造業PMIは、3月から0.1ポイント低下した。それでも50を上回ったため、製造業は2か月連続で拡大圏を維持したことになる。航空宇宙、電機、通信などの業種で生産や新規受注が増えたことが支えになった。

企業規模別に見ても、大企業は50.2、中規模企業は50.5、小規模企業は50.1と、いずれも50を上回った。規模の違いにかかわらず、製造業全体では拡大圏にとどまった形だ。

市場が注目するのは、公式PMIが市場予想の50.1を上回った点でもある。ロイターなどによれば、新規輸出受注は50.3と2024年4月以来の高水準になった。外需や一部の輸出関連産業が、製造業の数字を押し上げたとみられる。

それでも「回復」と言い切れないのはなぜか

製造業PMIが50を上回ったからといって、中国経済全体が力強く回復しているとは限らない。今回の数字で目立つのは、製造業と非製造業の方向感の違いだ。

非製造業PMIは49.4となり、2か月ぶりに50を下回った。サービス業は49.6、建設業は48.0に低下したとされる。小売、飲食、建設、不動産関連など、国内需要に近い分野で弱さが出ている。

総合PMI産出指数は50.1と、景気判断の節目はかろうじて上回った。ただ、前月からは0.4ポイント低下しており、景気全体の力強さを示すにはまだ材料が足りない。

これは、中国経済の現在地をよく表している。工場の生産や輸出関連の受注は動いているが、国内消費や建設、不動産関連の需要は十分に強いとはいえない。不動産不況の長期化で内需の停滞が続くなか、今回のPMIからは、分野によって強弱が分かれる姿が浮かぶ。

輸出が支えているなら安心なのか

輸出が製造業を支えているなら、それは前向きな材料に見える。実際、外需の改善は中国企業にとって重要だ。電機や通信機器、機械、航空宇宙などの分野で受注が増えれば、生産活動は続きやすい。

しかし、輸出主導の強さには注意も必要だ。ロイターは、海外顧客が地政学リスクやコスト上昇を警戒し、前倒しで発注している可能性を指摘している。受注増の一部が一時的な前倒しなら、その後の需要が続くとは限らない。

また、国内向けの新規受注には弱さが残る。全体の新規受注指数は前月の51.6から50.6へ低下した。50は上回っているものの、勢いは鈍っている。製造業PMIの50.3という数字も、拡大圏ではあるが、強い拡大を示す水準ではない。

民間調査では、RatingDog中国製造業PMIが52.2となり、前月の50.8から大きく上昇した。民間PMIは外需や輸出型企業の動きを反映しやすい面があり、新規受注、生産、輸出需要の改善を示す材料とされる。ただ、公式PMIと同じく、これだけで内需全体の回復を示すものではない。

原油高への警戒はどこに効いてくるのか

もう一つの焦点は、エネルギー価格と原材料価格の上昇への警戒だ。イラン情勢を背景に原油価格が高止まりすれば、今後の企業景況感に影響する可能性がある。

エネルギー消費の大きい中国では、原油価格の上昇が幅広い企業コストに波及しやすい。輸送費、燃料費、化学品、プラスチック、電力コストなどに影響し、製造業にとっては原材料費や物流費の上昇につながる。

公式調査では、主要原材料購入価格指数が63.7と高水準にとどまった。石油・石炭・燃料加工、化学関連の価格指数は2か月連続で70を上回ったとされる。企業がこうしたコスト上昇を販売価格に十分転嫁できれば利益は守られるが、需要が弱い局面では値上げが難しくなる。

ここに今回のPMIの読みどころがある。製造業は50を上回っているが、原材料価格が高止まりすれば、企業収益を圧迫する。受注があっても利益が残りにくくなれば、企業の投資や雇用判断も慎重になる可能性がある。

家計や投資家は何を見ればよいのか

中国のPMIは、遠い国の景気指標に見えるかもしれない。だが、中国は世界の工場であり、資源やエネルギーの大きな需要地でもある。中国の製造業が動けば、資源価格や関連企業の業績を見るうえで手がかりになる。

たとえば、新NISAで海外株式や投資信託を持つ人にとっても、中国景気の強弱は無関係ではない。中国向け売上の大きい企業、資源関連企業、機械や半導体関連企業などは、中国の生産や需要の変化を受けやすい。原油高が続けば、企業のコストや物価にも波及し、株式市場や為替市場の見方にも影響する。

ただし、見るべきなのは「PMIが50を超えたかどうか」だけではない。今回のように、製造業PMIは50を上回っていても、非製造業PMIが50を下回ることがある。外需が支えているのか、内需が改善しているのか。原材料高を価格に転嫁できているのか。そこまで見なければ、景気の実像はつかみにくい。

次に注目すべき点はどこか

今後の焦点は、製造業の拡大が一時的な前倒し需要にとどまるのか、それとも内需を伴う回復に広がるのかだ。輸出受注が高水準を保っても、国内消費や建設、不動産関連が弱いままなら、中国経済の回復感は限られる。

同時に、原油や原材料価格の動きも重要になる。コストが高止まりし、企業が販売価格に転嫁できない状況が続けば、PMIの数字が50を上回っていても、企業の実感は悪化する可能性がある。

今回の4月PMIは、中国製造業がまだ失速していないことを示した。一方で、非製造業の弱さとエネルギー価格への警戒は、回復の足元が盤石ではないことも示している。景気指標は、ひとつの数字だけではなく、その内側で何が支え、何が重しになっているのかを見ることで、ようやく意味が見えてくる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成した。一部数値は記事掲載時点の情報である)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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