公的年金でもらえるお金は3種類 老齢年金・障害年金・遺族年金の違いと受給条件

「年金」という言葉を聞くと、老後に毎月受け取るお金を思い浮かべる人が多い。だが、日本の公的年金は老後だけの制度ではない。病気やけがで障害が残ったときや、家族の生計を支えていた人が亡くなったときにも、暮らしを支える給付が用意されている。

日本年金機構は、公的年金の給付を大きく「老齢」「障害」「遺族」の3つに整理している。ただし、どの給付も加入していれば自動的に受け取れるわけではない。実際の受給には、受給資格期間、初診日、保険料納付要件、生計維持要件などの確認が必要になる。

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公的年金でもらえるお金は大きく3種類

公的年金の主な給付は、次の3種類に分けられる。

場面主な給付受給の入口
年を取ったとき老齢基礎年金、老齢厚生年金受給資格期間が10年以上あり、原則65歳に達していること
障害状態になったとき障害基礎年金、障害厚生年金初診日、障害等級、保険料納付要件などを満たすこと
家族が亡くなったとき遺族基礎年金、遺族厚生年金死亡時の加入状況、遺族の範囲、生計維持要件などを満たすこと

老後、障害、遺族という3つの場面で、年金が生活の支えになる構造は共通している。違うのは、どの制度から、どんな条件で支給されるかだ。

公的年金は国民年金と厚生年金の2階建てでできている

日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建て構造になっている。日本国内に居住する20歳以上60歳未満の人は原則として国民年金に加入し、会社員や公務員などはこれに加えて厚生年金にも加入する。

国民年金は土台となる制度で、ここから支給されるのが老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金だ。厚生年金は上乗せ部分にあたり、加入していた人には老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が加わる。

この「土台+上乗せ」の関係は、老後だけでなく、障害や遺族の場面でも同じだ。

年を取ったときにもらうのが老齢給付

一定の年齢に達したときに受け取るのが老齢給付だ。土台になるのが老齢基礎年金で、受け取るには保険料納付済期間と免除期間などを合わせた受給資格期間が10年以上必要になる。受給開始は原則65歳だ。

会社員や公務員など厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取る。老齢厚生年金の額は、現役時代の報酬や加入期間に応じて変わる。このため、同じ年齢でも受取額には差が出る。

老齢給付は「年金」と聞いて多くの人が思い浮かべる部分だが、公的年金の役割はそれだけではない。

障害状態になったときにもらうのが障害給付

病気やけがが原因で一定の障害状態になったときに支給されるのが障害給付だ。ここで重要になるのは、単に加入していたかどうかだけではない。初診日がいつか、どの制度の加入中だったか、保険料納付要件を満たしているか、障害等級に該当するかが受給の分かれ目になる。

障害基礎年金は、国民年金加入期間や20歳前など一定の期間に初診日があり、障害等級1級または2級に該当した場合に支給対象となる。厚生年金の被保険者である間に初診日がある場合は、障害厚生年金が上乗せされる可能性がある。

障害厚生年金は1級から3級までが対象で、障害認定日に3級より軽い状態でも、条件を満たせば障害手当金という一時金の対象になることがある。厚生年金に加入していた人のほうが、障害給付の対象範囲は広い。

年金は老後資金の話として語られやすいが、現役世代の病気や事故にも備える社会保障でもある。

家族が亡くなったときに支えになるのが遺族給付

亡くなった人に生計を維持されていた遺族の生活を支えるのが遺族給付だ。ここでも、誰が亡くなったかだけでなく、死亡時の加入状況や受給資格、遺族の範囲、生計維持要件が大きく関わる。

遺族基礎年金を受け取れるのは、原則として「子のある配偶者」または「子」だ。ここでいう子は、18歳到達年度末までの子、または20歳未満で1級か2級の障害状態にある未婚の子を指す。子どもがいない配偶者は、遺族基礎年金の対象にならない。

一方、遺族厚生年金は対象となる遺族の範囲が広い。配偶者、子、父母、孫、祖父母が対象になりうる。ただし、誰でも受け取れるわけではなく、生計維持要件に加え、夫、父母、祖父母は死亡時に55歳以上であることが必要で、支給開始は原則60歳からだ。子のいない配偶者でも、条件を満たせば遺族厚生年金を受け取れることがある。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害給付は、どの制度から支給されるかで対象範囲が変わる。

障害基礎年金障害厚生年金
主な対象等級1級・2級1級・2級・3級
初診日の考え方国民年金加入期間や20歳前など一定期間に初診日がある人厚生年金加入中に初診日がある人
主な要件障害等級と保険料納付要件などを満たすこと障害等級と保険料納付要件などを満たすこと
feature 基礎となる給付基礎年金に上乗せされ、3級や障害手当金の対象もある

違いを一言でいえば、障害厚生年金のほうが対象となる等級の幅が広いということだ。ただし、どちらも実際の受給には初診日や納付状況の確認が欠かせない。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い

遺族給付でも、国民年金側と厚生年金側で対象範囲が異なる。

遺族基礎年金遺族厚生年金
主な対象子のある配偶者または子配偶者、子、父母、孫、祖父母など
ポイント子どもの有無が大きく影響する対象範囲は広いが年齢要件などがある
注意点子の定義に年齢や障害状態の条件がある夫、父母、祖父母は55歳以上、支給開始は原則60歳

遺族基礎年金は、子育て世帯の生活保障という性格が強い。一方の遺族厚生年金は対象が広いが、遺族の続柄ごとに条件が細かく分かれている。

年金は老後だけの制度ではない

公的年金は、老後の所得保障だけを担う制度ではない。病気やけがで障害が残ったとき、家族の生計を支えていた人が亡くなったときにも機能する。

毎月の保険料は、将来の老齢年金だけでなく、現役期の障害や遺族への保障にもつながっている。年金を「老後のお金」とだけ見ると制度の半分しか見えない。老齢、障害、遺族の3つをセットで理解しておくことが、公的年金の仕組みをつかむ近道になる。

詳しく知りたい人へ

さらに理解を深めたい場合は、次のテーマを押さえると全体像が見えやすい。

  • 第1号・第2号・第3号被保険者の違い
  • 国民年金保険料の免除・納付猶予制度
  • 老齢年金の請求手続き
  • 障害年金の請求に必要な書類と流れ
  • 遺族年金の対象者と請求手続き

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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