年金はいつからどう受け取る? 請求手続きと支給スケジュールを解説

老齢年金は、年齢が来たら自動的に振り込まれるわけではない。受け取るには、自分で請求手続きをする必要がある。何歳になったら何が届き、どこで手続きし、いつ振り込まれるのか。その流れを知っておくと、受け取り開始までの見通しを立てやすい。この記事では、主に65歳で初めて老齢年金を請求するケースを前提に、年金を受け取り始めるまでの流れを整理する。

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年金は自動でもらえるのではなく、請求が必要

公的年金制度では、一定の年齢に達して老齢年金の受給権が発生しても、それだけで年金の支払いは始まらない。日本年金機構は、老齢年金を受け取るには請求手続きが必要だと案内している。

この手続きを正式には「裁定請求」と呼ぶ。耳慣れない言葉だが、意味は難しくない。自分に年金を受け取る資格があることを申し出て、支給開始の決定を受けるための手続きと考えるとわかりやすい。裁定とは、加入記録や受給資格を確認し、支給を決定することを指す。

年金請求書はいつ届くのか

多くの人は、日本年金機構から届く年金請求書をきっかけに手続きを始める。一般的には、老齢年金の受給開始年齢に達する3カ月前に「年金請求書」が送付される。

この請求書には、これまでの年金加入記録が印字されている。記録に漏れや誤りがないかをこの段階で確認しておくことが大切だ。加入記録に疑問があれば、早めに年金事務所などへ相談しておきたい。

裁定請求とは何か

裁定請求は、年金を受け取り始めるための正式な申請手続きだ。届いた年金請求書に必要事項を記入し、必要書類をそろえて提出することで、加入記録や受給資格が確認され、支給額が決まる。

手続きができるのは、受給開始年齢の誕生日の前日以降だ。請求書が届いていても、受給権が発生する前は提出できないため、日程は確認しておきたい。

どこで手続きするのか

年金請求書の提出先は、基本的には年金事務所が中心になる。案内内容によっては、街角の年金センターなどで相談や手続きができる場合もあるため、同封案内に沿って確認するのが確実だ。

提出方法は、次のような形がある。

  • 窓口で提出する
  • 必要書類をそろえて郵送する
  • 対象者であれば電子申請を使う

電子申請は誰でも利用できるわけではない。マイナポータル経由で「ねんきんネット」を利用していることに加え、一定の要件を満たし、電子申請の案内が届いている人が対象になる。代理人に依頼する場合は、委任状が必要になることもある。

いつから支給が始まるのか

請求書を提出してから、実際に年金が振り込まれるまでには一定の時間がかかる。一般的な流れは次のとおりだ。

タイミング届く書類・手続き
受給開始年齢の3カ月前年金請求書が届く
誕生日の前日以降請求書を提出する
提出から約1〜2カ月後年金証書・年金決定通知書が届く
さらに約1〜2カ月後初回振込が行われる

年金は、受給権が発生した月の翌月分から支給対象になる。手続きを終えてから初回振込まで、合計で2〜4カ月程度かかることを見込んでおくと予定を立てやすい。

年金はいつ振り込まれるのか

年金の支払いは、原則として偶数月の15日に行われる。支払月は2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回だ。各支払月には、前月分と前々月分の2カ月分がまとめて振り込まれる。

たとえば、4月15日の支払いは2月分と3月分に対応する。今受け取る年金は直近1カ月分だけではなく、2カ月分をまとめて受け取る仕組みだと理解しておくと家計管理がしやすい。

15日が土曜、日曜、祝日にあたる場合は、その直前の平日に支払われる。

請求が遅れた場合の時効はどう考えるか

年金の請求は、遅らせない方がよい。老齢年金には時効の考え方があり、請求や過去分の扱いが遅れると、5年以上前の分について受け取れなくなる場合がある。

遅れても直ちにすべてが失われるとは限らないが、遅らせるほど手続きは複雑になりやすい。請求時期が遅れるほど不利益が生じる可能性があるため、請求書が届いた段階で早めに内容を確認するのが無難だ。

5年時効が「現実に問題になる」代表パターン(チェックリスト)
以下のどれかに当てはまると、一般に言われる「5年」が、実務上の不利益(受け取れない期間が出る等)として表面化しやすくなります。

65歳で受け取れるのに、請求をしないまま長期間放置(請求漏れ)
・年金は自動的に支給開始されると思い込み、請求手続きをしない
・手続きが面倒で後回しにし、結果として数年単位で放置
・自分は受給対象外だと思い込んで請求しない
→ 受給できるのに請求しない期間が長くなるほど、「過去分の扱い」で5年が問題になりやすい

繰下げ待機中に死亡し、遺族が未支給年金を請求(請求時点から5年以上前が問題になりやすい)
・本人が繰下げのつもりで受給せずに待機していたが、その間に死亡
・遺族が未支給年金を請求する
→ 長期の待機だった場合、請求のタイミングによっては「5年以上前」に相当する部分が時効の対象になり得る

未支給年金の請求自体を遺族が放置(未支給年金にも5年時効)
・年金受給者が亡くなったが、遺族が未支給年金の請求をしないまま長期間経過
・相続手続きに気を取られ、年金の手続きが後回しになる
→ 未支給年金にも時効があるため、放置期間が長いほど不利益が出やすい

障害年金・遺族年金などでも「請求しないまま」5年超
・障害状態や遺族としての受給要件を満たしている可能性があるのに、制度を知らず請求しない
・必要書類が揃わない、相談に行けないなどの理由で放置
→ 老齢年金に限らず、請求しないまま時間が経つと5年が問題になり得る

記録訂正が絡むと、例外的に扱いが変わることがある(例外パターン)
・加入記録の漏れ・誤りなどが後から見つかり、記録訂正が行われる
・その結果、年金額が増える、または受給権が認められる
→ 原則としては「5年」が意識されやすいが、記録訂正などの事情がある場合は取り扱いが変わることがある(例外があり得る)

未支給年金とは何か

年金受給者が亡くなった場合、死亡した月までの年金のうち、まだ支払われていない分が残ることがある。これを未支給年金という。

これは通常の相続とは別に、未支給年金として請求する仕組みだ。受け取れるのは、亡くなった人と生計を同じくしていた遺族に限られ、順位は次のとおりになる。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他3親等内の親族

先順位者がいる場合、後順位者は受け取れない。未支給年金にも5年の時効があるため、該当する場合は早めの確認が必要だ。

年金を安心して受け取るための流れ

ここまでの内容を整理すると、年金を受け取り始めるまでの流れは次のようになる。

  1. 受給開始年齢の3カ月前を目安に年金請求書が届く
  2. 加入記録を確認し、誕生日の前日以降に請求書を提出する
  3. 提出から約1〜2カ月後に年金証書・年金決定通知書が届く
  4. さらに約1〜2カ月後に初回振込が行われる
  5. 以後は偶数月15日に前2カ月分がまとめて支払われる
  6. 請求が遅れると時効の問題が生じることがある
  7. 本人死亡後は遺族が未支給年金の請求を検討する

手続きの流れ自体は追いやすいが、加入記録や添付書類の確認で時間がかかることは珍しくない。年金請求書が届いたら放置せず、まずは記録確認と必要書類の整理から始めたい。

詳しく知りたい人へ

年金の受け取り手続きを理解するうえで、次の周辺テーマも押さえておくと全体像が見えやすい。

  • 公的年金の全体像
  • 国民年金と厚生年金の違い
  • 第1号・第2号・第3号被保険者の違い
  • 保険料の免除・猶予と受給額への影響
  • 老齢年金・障害年金・遺族年金の違い
  • 公的年金と税金の関係

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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