コンビニチェーンのミニストップ(9946)が4月8日に発表した2026年2月期決算は、親会社株主に帰属する当期純損失が56億3000万円だった。2025年2月期の67億7400万円赤字からは赤字幅が縮小したものの、3期連続の最終赤字となる。
今回の決算を重くしたのは、2025年8月に発覚した店内調理品の消費期限表示不正だ。問題は一部店舗の不正にとどまらず、看板だった店内調理商品の販売停止と再発防止費用の増加を通じて、チェーン全体の収益を押し下げた。
不正は23店舗で始まり、全店調査で25店舗に広がった
ミニストップは2025年8月、店内で製造・販売していた手づくりおにぎりや弁当などで、消費期限ラベルの貼り直しや、一定時間ラベルを貼らずに販売時間を延ばす不正があったと公表した。
会社は8月9日に手づくりおにぎりと弁当の製造を全店で中止し、その後、8月18日には店内加工惣菜の製造も中止した。9月1日に公表した調査結果では、調査対象1,786店舗のうち25店舗で表示に関する不正を確認している。8月16日までに判明していた23店舗から、全店調査の完了でさらに2店舗増えた形だ。
消費期限は、表示された保存方法を守った場合に安全に食べられるとされる期限を示す。賞味期限とは意味が異なり、その表示を偽る行為は、食品の安全性を判断する前提そのものを揺るがす。
赤字の構造は「本業悪化」と「特別損失」の二重苦
2026年2月期の営業損益は36億1000万円の赤字、経常損益は30億6700万円の赤字だった。1月8日時点で会社は通期業績予想を7000万円の黒字から60億円の最終赤字へと下方修正しており、今回の着地はその見通しに近い水準だった。
業績予想の修正時、会社は理由として、手づくりおにぎり等の全店一時販売中止による売上と関連購買の減少、再発防止策、安全・安心な厨房環境づくりのための経費増加を挙げていた。実際、月次営業報告を見ると、既存店の客数前年比は2025年9月から2026年2月まで93%台から94%台で推移し、店内加工ファストフード部門の既存店日販前年比も72.4%、66.9%、72.8%、75.4%、80.6%、78.2%と大きく落ち込んだ。問題が店内調理商品の売上だけでなく、来店全体に影響したことがうかがえる。
4月8日の決算開示を基にした業界報道では、最終赤字が56億3000万円まで膨らんだ背景として、特別損失13億8500万円の計上も伝えられている。不採算店舗の追加閉店を含む構造改革の痛みが、最終損益に重くのしかかった。
なぜここまで響いたのか
ミニストップの特徴は、コンビニエンスストア商品と店内加工ファストフードを組み合わせた独自業態「コンボストア」にある。ソフトクリームやホットスナックに加え、店内で調理・加工するおにぎりや弁当は、他社との差別化要素の一つだった。
そのため、店内調理商品の一時停止は、単なる一商品の欠品では済まなかった。コンボストアの核の一部が止まり、関連購買まで落ちたことで、既存店の客数と日販の低下が長引いた。問題の規模は25店舗でも、収益への影響はチェーン全体に波及した。
再発防止策は「設備導入」から「運用検証」へ
会社は再発防止策として、製造計画に合わせて発行・制御する新型ラベル発行機の導入、厨房内の見守りカメラ設置、社長直轄の衛生監査体制の強化などを進めた。2025年10月15日の公表資料では、対象商品を約70品目から23品目まで絞り込み、オペレーション負荷を下げる見直しも打ち出している。
販売再開は基準を満たした店舗から順次進めており、2026年1月末時点の販売再開店舗数は672店舗だった。ただし、再開店舗数の拡大そのものが信頼回復を意味するわけではない。新しい仕組みが現場で日常的に守られているかを継続的に点検できるかどうかが、今後の焦点になる。
問われているのは「店内調理をどう管理するか」
今回の問題は、個別店舗のモラルの問題だけでは片付けにくい。会社自身が、新型ラベル発行機や監査体制の強化、厨房カメラの設置基準見直しまで踏み込んだことは、従来の管理設計にも課題があったことを示している。
コンビニ各社が店内調理や高付加価値商品の強化を進めるなかで、ミニストップの事例は、差別化の武器がそのまま管理負荷の増大につながることを浮き彫りにした。今後の見どころは、販売再開のスピードそのものより、コンボストアの強みを維持しながら、安全管理をどこまで仕組みとして定着させられるかにある。
(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

