「平和維持」が前線になるとき——レバノンのUNIFILで2日間に3人死亡

「平和維持軍」という名前が示すイメージと、現実の落差がこれほど鮮明に表れた局面は少ない。

3月29日と30日の2日間で、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の要員3人が南レバノンで死亡した。いずれもインドネシア派遣要員だった。国連は「攻撃は国際人道法および安全保障理事会決議1701への重大な違反であり、戦争犯罪にあたりうる」と強く非難したが、誰が撃ったのかは現時点で特定できていないという。

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48時間で何が起きたか

3月29日、南レバノンのAdchit Al Qusayr付近でUNIFIL陣地に発射体が着弾し、インドネシア要員1人が死亡、1人が重傷を負った。翌30日には、UNIFIL車列が攻撃を受け、さらに2人が死亡した。

国連によると、いずれのケースも攻撃主体は不明のまま調査が続いている。イスラエル軍とヒズボラ(レバノンのイスラム教シーア派組織)の交戦が続く南レバノンで、UNIFILは文字通り両者の間に立たされている状況だ。

ただ、今回の死者は決して突発的な事故ではない。3月6日にはUNIFIL基地内で3人が負傷し、3月15日にはパトロール中の要員が3度にわたって銃撃された。3月を通じて平和維持活動の安全環境は継続的に悪化しており、今回の死亡はその延長線上にある。

UNIFILとは何か——「暫定軍」が50年近く存在し続ける理由

UNIFIL(国連レバノン暫定軍)は1978年に創設された国連PKO(平和維持活動)部隊だ。「暫定」と名付けられながら、その後半世紀近く存続し続けていること自体が、レバノンの地が抱える問題の根深さを物語っている。

転機となったのは2006年のイスラエル・ヒズボラ戦争だ。この戦争を終結させた安保理決議1701は、両者に敵対行為の停止を求めるとともに、UNIFILの任務を大幅に強化した。以来、UNIFILはイスラエルとレバノンの境界線「ブルーライン」沿いの停戦監視、レバノン政府軍の展開支援、双方の連絡調整を担ってきた。

現在、50カ国以上から約1万人規模の要員が展開しており、フランスが600人以上を派遣する主要国の一つとなっている。インドネシアもイスラム圏かつ非西側の主要派遣国で、同国要員への被害が集中したことは、グローバル・サウスの派遣国が大きなリスクを引き受けている現実を示している。

フランスが前面に出る理由

国連安全保障理事会の緊急会合の開催を真っ先に要請したのはフランスのジャンノエル・バロ外相だ。バロ外相はSNSで一連の攻撃を「強く非難する」と投稿し、安保理会合の開催を求めた。緊急会合は3月31日に開催が決まっている。

フランスがこれほど積極的に動く背景には、単なる国連PKO支持国としての立場以上の事情がある。フランスはレバノンの旧宗主国として長年政治的関与を続けており、今回は死亡事案とは別に、フランス人要員に対してイスラエル兵による威嚇行為が29日にあったとバロ外相は明らかにしている。パリ駐在のイスラエル大使に「断固たる態度で」抗議したとも述べた。

つまりフランスにとって今回の問題は、遠い地での国連任務の話ではなく、自国軍人の安全と外交的威信に直結している。

「中立の停戦監視」という概念の限界

Reuters、AP、Guardianといった欧米メディアの報道で共通しているのは、「誰が撃ったか」の断定を避けつつも、UNIFILが中立の観察者として機能し続けることの難しさを描くトーンだ。

APはイスラエル軍のレバノン南部での地上作戦拡大によってUNIFILの活動環境が急速に悪化していることを重視している。GuardianやWSJは、今回のUNIFIL被害をレバノン戦線だけの問題ではなく、より広い中東情勢の一部として位置づけている。

安保理決議1701の下でUNIFILは「停戦を守るための部隊」として機能してきた。だが停戦そのものが崩れている局面では、その前提が根底から問われる。停戦が破れた地での平和維持活動が何をできるのか、どこまで要員をリスクにさらすことが許容されるのか——31日の緊急会合では、こうした根本的な問いが改めて前面に出ることになる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
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・NISA Trading Advisor

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