「ロッテリア」の看板が消えていく——ゼッテリアに生まれ変わる、老舗バーガーチェーンの今

table of contents

あの赤い看板が、変わっている

街を歩いていて、「あれ、ロッテリアがゼッテリアになってる」と気づいた人もいるだろう。

かつて「マクドナルドの対抗馬」として親しまれてきたハンバーガーチェーン「ロッテリア」が、いま大きな変貌を遂げている。2026年2月16日、運営会社が「株式会社ロッテリア」から「株式会社バーガー・ワン」へと社名を変更。並行して、日本国内のロッテリアブランドは順次終了し、店舗の看板も「ゼッテリア」へと転換が進んでいる。

何が起き、どこへ向かおうとしているのか。順を追って整理する。


転機は2023年——すき家のゼンショーが買収

ロッテリアがゼンショーグループに入ったのは、2023年のことだ。

「ゼンショー」とは、牛丼チェーン「すき家」を中核とする外食グループの持株会社、ゼンショーホールディングス(東証:7550)だ。「はま寿司」「ジョリーパスタ」「ウェンディーズ・ファーストキッチン」など、複数の外食ブランドを傘下に持つ。

2023年2月、ゼンショーホールディングスは子会社(ゼンショーファストHD)を通じてロッテリアの全株式を取得すると公表。同年4月1日付で譲渡が完了した。売り手はロッテホールディングス(ロッテリアの旧親会社)だ。

この買収でゼンショーが狙ったのは、食材の調達・物流・店舗運営という「裏側の仕組み」のシナジーだった。


「ゼッテリア」という名前の由来

新ブランドの「ゼッテリア(ZETTERIA)」——この名前を聞いて「ZEはゼンショーから?」と思った人もいるかもしれない。

実際には、「絶品(ZEPPIN)」+「カフェテリア(cafeteria)」を組み合わせた造語だ。ゼンショーの”Z”ではなく、メニューの品質を訴求する言葉として選ばれている。


外食チェーンの「強さ」は、厨房の外にある

ゼンショーが買収によって活かせると見込んだのは何か。それを理解するには、外食チェーンのビジネス構造を知っておくと役立つ。

飲食チェーンの競争力は、「美味しさ」だけでは決まらない。食材の調達コスト・加工・物流・店舗オペレーションの標準化——これらの「裏側」が、価格・品質・提供スピードを左右する。

井上社長(すき家出身)は、ゼンショーの強みとして「調達から製造加工、物流、店舗運営までを一気通貫で持っている点」を挙げ、この土台をゼッテリアに移植できることが最大の差別化だと説明している。

ゼンショーホールディングスはすき家で培ったこの仕組みを、ハンバーガー事業にも展開しようとしている。


看板商品の「絶品ビーフバーガー」はどうなる?

ロッテリアの代名詞ともいえる「絶品ビーフバーガー」は、ゼッテリアでも継続される——ただし「同じもの」ではない。

バンズ・パティ・ソースを新規開発し、名前を残しながら中身を進化させていく方針だという。「ブランド転換に伴って別物になる」でも「完全に同じものを出し続ける」でもなく、既存ファンをつなぎ止めながら品質向上で評価を取りにいく、という設計だ。

また、シェーキなど既存の人気商品は引き続き提供され、季節ごとのフェアメニューも継続予定とのことだ。


店舗転換の現在地

2026年2月18日時点の状況は次のとおりだ。

  • ゼッテリア(転換済み):211店
  • ロッテリア(転換前):43店
  • 改装・休業中:19店
  • 合計:273店

すでに全体の約77%がゼッテリアへ転換済みで、残るロッテリアブランドの店舗も順次ゼッテリアへ切り替えが進んでいる。看板が変わっても店舗自体がなくなるわけではなく、ブランドの転換が主体だ。


実際に食べてみた——ディナーセットの話

ちょうど近くにゼッテリアがあったので、実際に足を運んでみた。

注文したのは「ディナースープ付きセット」。夕方17:00以降に注文できる、夜限定のセットメニューだ(公式ページで明記)。内容はバーガー+ポテトM+ドリンクM+コーンスープの4品で、絶品ビーフバーガーのセットは990円。ダブル絶品ビーフバーガーなら1,190円、トリプルなら1,340円となっている(公式メニュー・公式告知PDFより)。

食べてみると、絶品バーガーはしっかりとした肉の旨みがあり、コーンスープはバーガーとの相性がよかった。ポテトとドリンクを含む4品で、価格感は(筆者の実感として)納得しやすい水準だ。

なお、公式ページでは「一部店舗およびデリバリーでは価格が異なる」と明記されている。また、ハンバーガー・チーズバーガーはこのセットの対象外で、ポテトとドリンクはそれぞれ+50円でLサイズへ変更可能だ。一部店舗では取り扱いがない場合や、数量限定の場合もあるので、事前に確認しておくと安心だ。


競争の相手は「マック」だけではない

ゼッテリアが直面する競争環境は、厳しい。

国内のハンバーガー市場は規模1兆円超ともされ(帝国データバンク等の業界調査による)、マクドナルドをはじめとする先行各社は、モバイルオーダー・デジタルクーポン・ポイント連携など、スマホを軸にした顧客との接点づくりを積極的に進めている。

後発のゼッテリアにとっての課題は、「品質と価格」だけでなく、新ブランドとしての認知をいかに短期間で作るかだ。「ゼッテリア」という名前をまだ知らない人も多く、看板の切り替えが進むなかで、どう選ばれる理由を作るかが問われる。


「海外のロッテリア」は別の話

ひとつ誤解しやすい点として触れておきたい。

日本でロッテリアの看板が消えていくことで、「ロッテリアというブランドが世界から消える」と思われることがある。しかし、韓国ではロッテGRS(별도법인)がロッテリアを展開しており、今回の日本国内での社名変更・ブランド転換とは切り離して考える必要がある。日本でのブランド終幕が、海外のロッテリアに直結するわけではない。


「ゼッテリア」が問われること

ゼッテリアへの転換は、単なる看板の掛け替えではない。ゼンショーホールディングスの調達・物流・オペレーションの仕組みを活かして品質と効率を両立し、新ブランドとして市場で存在感を作れるかどうか——その答えは、これから積み重なっていく。

あの赤い看板が変わっていくなかで、日本の外食業界がまたひとつ、新しい章を開きつつある。


本稿は各社公式発表・IR・報道をもとに構成しています。店舗・メニュー・価格は変更される場合があります。最新情報は公式サイトまたは各店舗でご確認ください。

Please share it if you like!

Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

table of contents