赤沢経済再生相、米国で関税交渉へ——「1対3」体制の複雑さと日米協議の現状

3週連続で訪米、5回目の閣僚協議へ

赤沢亮正経済再生相は、日米関税交渉の5回目となる閣僚協議に出席するため、6月5日に羽田空港を出発し米国へ向かいました。これで3週連続の訪米となります。アメリカの追加関税措置が4日に発動されるなど、交渉の緊迫感が増す中での出発となりました。赤沢氏は出発前、記者団に対し「引き続き関税措置の見直しを強く求める」と明言しています。


日米首脳会談に向けた調整——短期集中の背景

今回の交渉は、6月中旬に予定されている日米首脳会談(G7サミットに合わせて開催予定)での一定合意を目指したものです。協議が短期間で重ねられている理由のひとつが、米側交渉陣の構成の複雑さにあります。トランプ政権では、財務長官・商務長官・通商代表の3閣僚がそれぞれ関税政策に関わり、日本側から見ると“1対3”の構図で交渉を進めざるを得ない状況です。


米交渉陣3閣僚の役割と相違点

赤沢氏のカウンターパートは本来、ベッセント財務長官ですが、強硬派のラトニック商務長官や、影の薄いものの実務担当であるグリア通商代表(USTR)も交渉に関わっています。ベッセント氏は穏健派、ラトニック氏は「景気後退でも関税引き上げは価値がある」と発言する強硬派です。通商代表のグリア氏は、かつて日本・中国との交渉で実績がありますが、今回は監督役の立場となっています。
この3閣僚は、互いに意見が異なるだけでなく、ライバル関係や手柄争いも目立ち、日本側との協議中に米側閣僚同士で議論が始まる場面も報じられています。


米政府内の連携不足と交渉の難しさ

米国側は閣僚間だけでなく、事務方(官僚)との連携にも課題を抱えているようです。日本の交渉関係者によれば「米国は事務方、閣僚、大統領の3層がバラバラで情報共有が進んでいない」状態とされ、事務方と閣僚に同じ説明を繰り返さねばならないこともしばしば起こっています。
最終決定権はトランプ大統領にありますが、その意向もつかみにくく、日本側としては「首脳会談で決まるまでは何も決まらない」という慎重な構えが求められています。


過去との比較と日本側の交渉戦略

1990年代は米通商代表(USTR)が来日し、日本側の複数閣僚と個別交渉する構図でしたが、現在は逆転。日本はTPP以降、交渉権限を一元化し、対応の迅速化と統一的な戦略を進めてきました。
一方、今回の米側は省庁間の調整に不安があり、情報の食い違いや意思決定の遅れが交渉の足かせとなっています。この状況は、日本側にとっては真意を読み取る難しさがある一方で、交渉を有利に進める“隙”にもなり得ます。


今回の焦点と今後の見通し

今回の協議は、米国の追加関税(鉄鋼などの50%引き上げ)発動直後という緊迫したタイミングで行われます。日本政府は影響の分析と対応策の検討を進めながら、G7サミット前の日米首脳会談に向けて合意形成を目指します。
交渉は引き続き複雑な局面が続きますが、閣僚レベルでの理解とトランプ大統領への報告体制が整うかが、今後の大きな焦点となります。

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