米裁判所がトランプ関税を違法判決!相場に激震、ドル・円・株価が大きく動く

米裁判所の判決内容の概要

2025年5月28日(日本時間29日)、米国の国際貿易裁判所は、ドナルド・トランプ大統領が4月に発動した一連の関税措置について、違法との判断を下しました。具体的には、トランプ氏が一方的に貿易相手国に対して関税を課す行為が、大統領の法的権限を超えていると指摘したのです。この判決は、米国の通商政策に大きな影響を与える重要な判断とされています。

関税措置の違法性判定のポイント

今回の争点は、トランプ政権が発動した関税措置が「大統領の権限を逸脱しているか否か」という点にありました。トランプ氏は、特定の国からの輸入品に対し「安全保障上の理由」や「不公正な貿易慣行」を理由に高率の関税を課していましたが、裁判所はこれを「法律で認められた範囲を超えている」と判断しました。

特に、裁判所は以下の点を重視しました。

  • 権限の根拠の不十分さ:大統領が関税を決定する際の法的根拠が不明瞭であり、議会の承認なしに大規模な関税を課すことは適切でないと判断。
  • 手続きの透明性と公正性の欠如:関税発動の背景や手続きにおいて、適切な審査や説明が不十分であったこと。
  • 国際的な貿易ルールとの整合性:米国が加盟する国際貿易ルール(WTOルール)や合意との整合性も考慮され、今回の措置が過度であるとの指摘。

これにより、裁判所はトランプ大統領の関税措置を差し止める命令を出し、その実施を阻止しました。

ホワイトハウスの反応と今後の対応見通し

判決に対して、ホワイトハウスはすぐに「不服」との姿勢を示しました。高官は、この決定について「誤った判断」と強く批判し、必要であれば最高裁判所まで争う可能性があると述べています。これは、トランプ政権がこの問題を最後まで法廷で戦う意向を示唆したものです。

一方で、今回の判決により、最高レベルの関税措置が実際に施行される可能性は低くなるとの見方も出ています。市場や専門家の間では、トランプ大統領が法的なハードルの高さを受けて、関税強化を一部見直す可能性も示唆されています。

こうした動きを受けて、通商政策の不透明感は依然として残るものの、一時的に市場の過度な不安は和らぐ展開となりました。今後はホワイトハウスの上訴動向や、連邦政府内での政策調整が注目されるところです。

為替市場への影響

今回の米国裁判所によるトランプ関税差し止め判決は、為替市場にも大きな影響を及ぼしました。特にドル円相場では、これまで続いていた円高圧力が一気に和らぎ、約2週間ぶりに1ドル=146円台前半まで円安・ドル高に振れました。

円相場の動き(ドル円146円台へ)

判決発表直後から、円はドルに対して売られる動きが加速しました。ドル円相場は146円台に戻り、前日の終値と比較して約2円ほどの円安方向への大きな動きを見せています。これは、トランプ政権の関税強化に対する不透明感やリスク回避的な動きが後退したことを反映しています。

円は世界的に安全資産としての性格も持ちますが、今回の判決を受けて、米国の通商政策リスクが一時的に低減したことから、リスク資産への資金回帰が進み、円売り・ドル買いの流れが強まりました。

ドルの買い戻しが進んだ背景

これまでドルは、トランプ政権の強硬な関税政策や政治的な不透明感を嫌って売られる傾向が強く、特に投資家の間ではドル離れが進んでいました。しかし、今回の裁判所判決により、その政策の一部が法的に阻止されたことで、米国の貿易リスクが軽減されるとの期待が広がりました。

その結果、投資家はドルを再び買い戻す動きを強め、ドル高が進行しました。特に安全資産としてのスイスフランや日本円に対してドルが強含んだことは、ドルの信認回復を象徴しています。

また、米国の経済基盤や金融政策が比較的安定しているとの見方もあり、リスクオンのムードが高まったことがドル買いの追い風となりました。

株式市場の反応

米国裁判所がトランプ大統領の関税措置を違法と判断し差し止めを命じたことは、世界の株式市場にも好影響を与えました。特にアジア市場を中心にリスク資産への買い戻しが活発化し、投資家心理の改善が鮮明となっています。

日本・韓国などアジア株の上昇

日本の日経平均株価は判決を受けて急速に上昇し、一時は1%を超える上げ幅を記録しました。韓国の株式市場も同様に反応し、KOSPI指数は0.8%程度の上昇となっています。これらの動きは、米国の貿易政策に対する不安が一部和らぎ、企業収益への悪影響が緩和されるとの期待感から来ています。

アジア市場全体もこの流れに乗り、中国市場の開場を控えた時間帯でも堅調な推移が見られました。投資家はリスク資産への資金シフトを進め、地域経済の先行きに対する楽観的な見方を強めています。

米国先物市場の堅調推移

米国株式市場の先物取引も、今回の判決を受けて堅調な動きを示しました。S&P500先物は1.5%近い上昇となり、ナスダック先物は1.8%を超える上げ幅を見せています。これらは、米国市場が貿易摩擦の緩和期待から投資家の買い意欲を取り戻していることを示しています。

特にテクノロジーセクターの牽引が顕著で、AI関連のハイテク銘柄に対する期待感が市場全体を押し上げる要因となりました。

エヌビディアなど関連銘柄の決算好調も後押し

中でもエヌビディア(NVIDIA)は、最新の決算発表で市場予想を上回る好業績を報告しました。AI分野の急成長に支えられ、今期も強い収益が見込まれるとの見通しを示し、時間外取引で4%以上の株価上昇を記録しています。

この好調な決算は、投資家のリスク許容度を高める要素となり、米国株式市場の先物買いをさらに後押ししました。半導体関連やAI技術を背景にした企業群が相場をけん引し、全体の上昇基調に拍車をかけています。

債券市場と金融政策への波及

米国裁判所がトランプ大統領の関税措置を違法と判断したことは、債券市場や金融政策に関する市場の見方にも大きな影響を与えました。

米長期金利の上昇とFRBの利下げ期待後退

判決を受けて、米国の10年物国債利回りは3ベーシスポイント上昇し、約4.51%に達しました。これは、米国経済のリスクがやや軽減されつつも、依然としてインフレ持続リスクや金融引き締めの継続を市場が織り込んでいることを示しています。

特に、今回の関税措置がインフレ抑制の観点からも重要な役割を果たしていたため、その差し止め判決は金融政策の見通しにも微妙な影響を及ぼしました。市場参加者の間では、近々のFRBによる利下げ可能性がさらに低下し、7月の利下げ確率は22%程度、9月でも約60%にとどまるとの見方が強まっています。

市場心理の変化と投資家のリスク志向

このような金利の上昇は、投資家心理に変化をもたらしました。利下げ期待が後退することで、リスク資産への楽観的な見方が一時的に後退する場面もありますが、全体としては通商政策の不透明感が薄れたことでリスク志向が高まる動きが見られます。

つまり、投資家はこれまで避けていたリスク資産への投資に積極的になり、債券市場から株式や為替市場へ資金が流れる傾向が強まりました。一方で、金利上昇は借入コストの増加を意味するため、企業収益や消費動向には引き続き注意が必要です。

商品市場の動き

米国裁判所の判決は商品市場にも波及し、金や原油など主要コモディティの価格変動が見られました。通商政策の不透明感が和らいだ一方で、経済や地政学リスクに対する投資家の反応が価格に反映されています。

金価格の下落

判決を受けて、金価格は一時0.9%程度下落し、1オンスあたり約3,259ドルとなりました。金は一般的に「安全資産」として市場の不安定要因が強まる局面で買われる傾向がありますが、今回の関税差し止め判決で米国の貿易リスクが和らいだことで、安全資産としての需要が一時的に減少しました。

また、米長期金利の上昇も金の価格下落を後押ししています。利回りが高まると、利息を生まない金の魅力が相対的に低下するため、投資家の一部が他の資産に資金を移動させる動きが出ています。

原油価格の上昇要因

一方で、原油価格は逆に上昇傾向を示しました。OPECプラスが生産政策を据え置くことを決定したことや、米国がシェブロン社に対してベネズエラ産原油の輸出禁止措置を強化したことが、供給面での懸念を強めています。

こうした供給不安に加え、世界経済のリスクが和らぎつつあることから、需要の回復期待も相まって原油価格は買われやすい状況となりました。1バレルあたり62ドル台まで値を戻し、市場の注目を集めています。

今後の展望と注意点

今回の米国裁判所によるトランプ関税差し止め判決は市場に一時的な安心感をもたらしましたが、今後の動向には慎重な見守りが必要です。政治・経済両面で依然として不確実性が残るため、投資家や市場参加者は以下のポイントに注目しています。

ホワイトハウスの上訴の可能性

判決を不服としたホワイトハウスは、最高裁判所まで上訴する可能性を示唆しています。これは法的な争いが長期化する可能性を意味し、市場の不透明感を再燃させるリスクがあります。もし上訴が続けば、関税政策の行方はさらに不透明になり、通商環境の先行き不安が強まることも考えられます。

市場の反応が続くかどうか

現時点では判決を好感したリスクオンの動きが見られますが、市場の反応が持続するかは今後の政策動向や経済指標、地政学リスク次第です。特に、米国と主要貿易相手国間の交渉や追加的な通商措置の発表があれば、市場のセンチメントは大きく揺れ動く可能性があります。

また、FRBの金融政策や世界的なインフレ動向も投資家の判断に大きな影響を与え続けるため、注意深いモニタリングが必要です。

世界経済・貿易政策の不透明感は依然残る

今回の判決は一時的な通商政策リスクの後退を示しましたが、米国の保護主義的傾向や貿易摩擦の根本的な解決には至っていません。加えて、新興国の経済動向や地政学的な緊張も続いており、世界経済全体の不確実性は依然として高い状態にあります。

このため、投資家は短期的な市場の動きに惑わされず、長期的な視点でリスク管理を徹底することが求められます。多様なシナリオを想定した準備が、今後の市場変動に対する備えとなるでしょう。

Summary

今回の米国裁判所によるトランプ大統領の関税措置差し止め判決は、米国の通商政策に対する法的な制約を示す重要な判断となりました。この判決を契機に、短期的には市場のリスク懸念が和らぎ、為替、株式、債券、商品市場など幅広い分野でポジティブな反応が広がりました。

しかし、一方でホワイトハウスの上訴の可能性や、米国の保護主義的な政策姿勢が根本的に変わったわけではないことから、通商政策の不透明感は依然として残っています。加えて、世界経済の地政学的リスクやインフレ動向など、多くの不確実要因も存在するため、市場の動きには引き続き注意が必要です。

今後の市場注目ポイントは以下の通りです。

  • ホワイトハウスの法的対応と最高裁での審理動向
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策、特に利下げのタイミング
  • 米中や主要貿易相手国との交渉・通商政策の変化
  • 世界的な経済指標や地政学リスクの動向

これらを踏まえ、投資家は短期的な市場の反応に過度に振り回されず、中長期的な視野でリスク管理を徹底しながら動向を注視することが重要です。

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Person who wrote this article

CFP®/Level 1 Financial Planning Technician
Certified by the Japan Securities Analysts Association
・Primary Private Banker
・Asset Formation Consultant
Certified by the Financial and Financial Situation Study Group
・NISA Trading Advisor

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